グリム童話『ガラス瓶の中の化け物』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
『ガラス瓶の中の化け物』のあらすじ
むかしあるところに貧しい木こりがおり、一生懸命働いてお金をためると、学ばせて将来養ってもらうために息子を大学に行かせた。
息子は大学でしっかり勉強したので教師たちにもほめられていたが、まだ学業が終わらぬうちに学費がつきてしまい父親のもとへ戻った。
息子はこれが神の思し召しだと父親をなぐさめて、次の日にとなりの家でおのを借り、父親の木こりの仕事を手伝うことにする。
2人は朝からしっかり働き、昼の休憩をするときに息子は鳥の巣でも探しにいくといって森の奥まで入ってしまう。
そこで息子は気味の悪い大きなかしわの木を見つけ、そのあたりで「出してくれ」という声を聞く。
その声に導かれて木の根のあいだをさがすとガラスのびんを見つけ、その中で何かがはねていた。
息子がびんの栓を抜くと、魔物が抜けだして大男に変わる。
そして、その魔物は罰せられるために瓶に閉じこめられていたので、瓶の外に出られたのだから息子の首をへし折ってやるといいだした。
しかし息子は本当の魔物か見極めたいといって魔物をもう一度瓶に入るよううながし、そのまま栓を閉めてもとの場所に戻す。
魔物はあわれな声になって「もう一度助けてくれたら今度は一生困らないで生きていけるようにしてやる」とさけんだ。
息子は最初相手にしなかったが、だんだん試してみる気になって瓶の栓を開けてやると、魔物はお礼に膏薬のような布きれを渡した。
それは、いっぽうのはしで傷をなでればそれが治り、もういっぽうのはしで鋼や鉄をなでればそれが銀に変わるというものだった。
息子は自分の手をわざと傷つけて、布きれの効果を認め、魔物にお礼をいって父親のもとへ戻った。
そして借りたおのに膏薬を塗りつけてから木に打ちつけると、おのは鉄から銀に変わっていたので刃が曲がった。
おのは借り物だったので、父親はその代金を弁償するお金もないといって息子に怒った。
父親は息子にだめになったおのを売りに行かせて、足りない分を自分で稼ぐことにした。
息子が金細工師のもとへ行くと、その銀のおのには400ターラーの値打ちがあることがわかり、金細工師が持ちあわせていた300ターラーのみ受けとってうちへ帰った。
となりに借りたおのは1ターラーほどだったが、息子はその倍の金額を渡し、それから「好きなように暮らしてください」と100ターラーを父親に渡した。
そして息子はおどろく父親に、自分が魔物から幸運の品を手にいれたことを話した。
息子は残りの金でふたたび大学に入って勉強を続け、なんでも治せる膏薬があったので世界で最も名高い医者になった。
『ガラス瓶の中の化け物』の教訓・感想など一言コメント
学生とお化けが主人公。
訳によっては「魔人」となっていて、瓶の中の魔人ということで、『アラジン』も彷彿とさせます。
最初は学生に攻撃的なお化けが、最後は勉強をつづけさせるために助けてくれます。
最後は医者になって、めでたしめでたし。
やっぱり人助け(お化けですらも?)は大事だということですね。
『ガラス瓶の中の化け物』の基本データ
収録ナンバー
KHM099
原作タイトル(ドイツ語)
Der Geist im Glas
英語タイトル
The Spirit in the Bottle
日本語の別タイトル
- 「ガラスびんの中のお化け」
- 「ガラスビンの中のおばけ」
など
収録版
初版から7版まで