グリム童話『ラプンツェル』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
一部ネタバレを含みますので、これから読む予定の方はご注意ください。
『ラプンツェル』のあらすじ
王さまとお妃さまには長い間子どもがいなかったが、ようやくその兆しが見え始める。
そんなとき、妻は隣の庭にあるラプンツェル(ノヂシャ属のサラダ用植物)をどうしても食べたくなり、夫は庭へ忍び込んでしまう。
だが、その庭の持ち主は恐ろしい魔女だった。
魔女は夫を捕まえ、ラプンツェルを取る代わりに「生まれてくる子どもを引き渡せ」と告げる。
こうして生まれた女の子は「ラプンツェル」と名付けられ、魔女に連れ去られてしまう。
美しい金色の髪を持つラプンツェルは、12歳になると森の中の塔に閉じ込められる。
塔には扉も階段もなく、魔女はラプンツェルの長い髪を伝って出入りしていた。
そんなある日、ラプンツェルの美しい歌声に惹かれた王子が塔を訪れる。
王子は魔女の真似をして髪を伝い、ラプンツェルと出会い、二人は強く惹かれ合う。
しかし、そのことが魔女に知られてしまい……。
『ラプンツェル』の教訓・感想など一言コメント
『ラプンツェル』といえば、ディズニー映画でおなじみのお姫様ですが、原作のラプンツェルは少し違います。
このお話では、ラプンツェルの父親が欲望に負けて魔女の庭の野菜を取ったことから、すべてが始まります。
悪いことをすれば、その代償は必ず払わされる……そんなメッセージが感じられますね。
また、魔女の視点に立ってみると、自分のものを勝手に取られた上に、育てたラプンツェルまで王子に奪われるという悲劇のようにも見えます。
大切にしてきたものが奪われるという、親心にも似た感情が隠れているかもしれません。
一方で、ラプンツェルと王子の出会いはロマンチックで、彼女の歌声が運命を引き寄せたとも言えます。
愛の力や信念が、困難な状況を乗り越える強さにつながるという希望の物語でもありますね。
このお話が伝える教訓は、「人のものを勝手に取らないこと」、「欲望には責任が伴うこと」、そして「信じる気持ちが道を切り開く」といったところでしょうか。
原作のラプンツェルはただ助けられるだけではなく、困難を乗り越えながら幸せをつかみ取る強い女性像が描かれています。
ディズニー版との違いを比べながら読むのも楽しいですね!
『ラプンツェル』の基本データ
収録ナンバー
KHM012
原作タイトル(ドイツ語)
Rapunzel
英語タイトル
Rapunzel
日本語の別タイトル
- 「髪長姫」
- 「ちしゃ」
など
収録版
初版から7版までずっと
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- 本記事はグリム童話集第7版『ラプンツェル』をもとにした要約です。
- グリム兄弟(編)『グリム童話全集 : 子どもと家庭のむかし話』シャルロット・デマトーン(イラスト) 橋本孝・天沼春樹(訳) 西村書店, 2013年.
- 高木昌史『決定版 グリム童話事典』三弥井書店, 2017年.
- Jacob Grimm, Wilhelm Grimm. Grimm’s Complete Fairy Tales (Leather-bound Classics), Introduction by Kenneth C. Mondschein, Translated by Margaret Hunt, Canterbury Classics, 2011.
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