グリム童話『ズルタンじいさん』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
『ズルタンじいさん』のあらすじ
ある農夫は、ズルタンという名の忠実な犬を飼っていたが、その犬は年をとって歯がぜんぶ抜けてしまい、なにもかみつくことができなかった。
ある日、農夫は奥さんに、「ズルタンはもう役立たずだから、明日撃ち殺そう」という。
奥さんは、誠実に仕えてきた犬を死ぬまで飼ってあげようと止めるが、農夫はもう用なしだといってきかなかった。
ズルタンはそのやりとりを聞いてしまい、悲しくなった。
ズルタンには森にオオカミの友だちがいたので、オオカミに自分の悲しい運命のことを話した。
すると、オオカミはズルタンのためのいい作戦を思いつく。
それは、明日夫婦が赤ちゃんをつれて草刈りに出かけたとき、オオカミが赤ちゃんをさらうふりをし、それをズルタンが追いかけて取り返してくるというものだった。
そうすれば農夫はズルタンを赤ちゃんの命の恩人だと思い、殺すことができなくなって、ズルタンは一生困らずに暮らすという計画だった。
次の日、ものごとは計画通りにすすみ、ズルタンが赤ちゃんを取り返してくると、農夫はよろこんでズルタンに一生楽をさせてやることにした。
それから、ズルタンは何不自由なく幸せに暮らすことができた。
オオカミはしばらくたってズルタンをたずね、今度自分が農夫のヒツジをさらっていくが、見て見ぬふりをしてくれ、とたのむ。
しかしズルタンは、自分はずっと主人に忠実にしてきたので、それをするわけにはいかないとこたえた。
オオカミはズルタンが本気で言っているのではないと思いこみ、夜中にヒツジをさらおうとするが、ズルタンからすでにオオカミの計画をきいていた農夫はオオカミを打ちのめし、オオカミは逃げていくことしかできなかった。
オオカミは怒り、次の朝、イノシシを使いにして、決着をつけるためにズルタンを森の中に呼びだす。
ズルタンは自分の仲間として、3本足の猫をつれていった。
オオカミとイノシシは森の中で待っていたが、遠くからやってくるズルタンと猫をみて、猫のぴんとのびたシッポをサーベルだと勘ちがいした。
さらに、猫が3本足で歩いてくるたび石を拾いあげていたが、それを自分たちに投げつけるのではないかと思った。
オオカミとイノシシはこわくなってしまい、オオカミは木の上に、イノシシは葉のかげにかくれた。
ズルタンと猫は、約束の場所にきてもだれもいないので、あたりを見まわすと、イノシシの耳が動くのをみつけ、猫はそれをネズミだと勘ちがいしてとびかかってかみついた。
イノシシは逃げだし、木の上にかくれてるやつが悪いんだと叫んだ。
ズルタンと猫は上をみると、おくびょうなオオカミを見つけ、オオカミは恥ずかしくなって、ズルタンからの仲直りの申しでを受けいれた。
『ズルタンじいさん』の教訓・感想など一言コメント
老いぼれたイヌと、それを陰から助けるオオカミのお話。
役立たずになり、人間に捨てられるかもという不安を抱くのは、『ブレーメンの音楽隊』にも似ています。
オオカミの計画のおかげで老犬ズルタンは元通りの生活に戻りますが、後半はオオカミとの対決が描かれます。
昨日の友は今日の敵?になるかもしれません。
『ズルタンじいさん』の基本データ
収録ナンバー
KHM048
原作タイトル(ドイツ語)
Der alte Sultan
英語タイトル
Old Sultan
日本語の別タイトル
- 「老犬ズルタン」
など
収録版
初版から7版までずっと
2版から話が少し付け加えられている