グリム童話『奥様きつねの結婚』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
『奥様きつねの結婚』のあらすじ
第1の話
むかしむかし、9本のしっぽをもった古ギツネがいた。
自分の女房の身もちをうたがってためしてやろうと思い、ベンチの下に横たわり、死んだふりをした。
奥さまギツネは自分の部屋に閉じこもってしまい、女中のおじょうさん猫はかまどの上に座って料理をした。
古ギツネが死んだことがひろまり、結婚をもうしこむ者がたくさんあらわれるようになる。
だれかが扉をトントンたたいたので、女中の猫が扉を開けると、若いキツネが立っていて、何をしているのかとたずねる。
猫は、自分はビール入りスープをつくっているが、お客になってくれるかと答えると、若いキツネはお礼をいって、奥さまギツネは何をしているのかとたずねる。
女中の猫が奥さまは部屋に閉じこもって泣いている、とこたえると、若いキツネは、奥さまと結婚したがっていると伝えてくれ、とたのむ。
猫は奥さまのお部屋に行き、婿になりたい方がいる、と伝えると、奥さまはどんな方なのか、しっぽは9本あるかしら、とたずねた。
猫は、1本しかない、とこたえると、奥さまギツネは、それでは結婚できない、といったので、猫は若いキツネを追い返した。
そして、別のキツネがたずねてきて、そのキツネには2本のしっぽがあったが、同じように結婚をことわられた。
そのあと、やってきたキツネはどんどんしっぽの数がふえていき、しまいには、しっぽが9本あるキツネがやってきた。
それを聞くと、奥さまギツネはよろこび、扉をあけて、年よりキツネのだんなは掃きだしてくれ、と猫につたえる。
ところが、婚礼の式があげられるときに、古ギツネがうごきだし、召使いと奥さまギツネをお払い箱にしてしまった。
第2の話
年よりキツネのだんなが死ぬと、オオカミが未亡人と結婚したいとやってきた。
女中の猫は戸を開けると、オオカミは猫に何かごちそうができるのかたずねた。
猫は、パンをくだいてミルクに入れているが、お客になってくれるかときく。
オオカミはお礼をいって、奥さまは留守なのかとたずねると、猫は、奥さまはお部屋で悲しんでいる、とこたえる。
オオカミは、別のだんなをお望みならばここにいる、と猫に伝えさせた。
猫は奥さまに、オオカミのいったことを伝えると、奥さまは、その方は赤いズボンをはいているか、そしてとがった口をしているのか、ときいた。
猫は、いいえ、とこたえると、奥さまは、それでは役に立たない、といってことわった。
その後、犬、シカ、ウサギ、クマ、ライオン、そしてあらゆる動物がやってきたが、だれもなくなったキツネのだんなの性質をもっていなかったので、追い返された。
最後に若いキツネがやってきた。
奥さまギツネは猫に、その方は赤いズボンをはいているか、そしてとがった口をしているのか、ときいた。
猫は、そのとおりだ、とこたえると、キツネの奥さまは、その方を上へあげるように言いつける。
そして、婚礼の準備をするように言いつけた。
奥さまは猫に、おいぼれギツネは窓から捨ててしまえ、かれはいつもネズミをひとりで食べていて、自分にはひとつもくれなかった、と話す。
そして、若いキツネと婚礼がおこなわれ、みんなうかれておどった。
『奥様きつねの結婚』の教訓・感想など一言コメント
1の話、2の話と、2部構成になっているお話。
主人公はもちろんキツネです。
基本的にはキツネの世界の話ですが、2の話ではオオカミや他の動物もたくさん登場します。
動物好きにはもってこいの物語です。
しかし、ストーリーはけっこうリアルで、婚活をする女性が、希望の男性を見つけ出しているような話です。
しっぽが9本あるキツネは、中国神話に出てくる「九尾の狐」を連想させますね。
『奥様きつねの結婚』の基本データ
収録ナンバー
KHM038
原作タイトル(ドイツ語)
Die Hochzeit der Frau Füchsin
英語タイトル
The Wedding of Mrs. Fox
日本語の別タイトル
- 「きつねおくさまの婚礼」
- 「狐奥様のご婚礼」
など
収録版
初版から7版までずっと