グリム童話『勇ましいちびの仕立て屋』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
『勇ましいちびの仕立て屋』のあらすじ
仕立て屋がジャムを食べる準備をしているところへ、ハエがとまる。
彼は、手の一撃で一気に7匹のハエを殺す。
そのあと、自分のベルトに「一撃で7」と刺繍をし、富を求めて世界を旅することになる。
仕立て屋は巨人と出会う。
巨人は、刺繍に書かれている「一撃で7」の「7」を、ハエではなく「7人の男」だと勘違いする。
巨人は仕立て屋を試すためにさまざまなことをするが、なんとか乗り切って、巨人を圧巻させる。
巨人は他の巨人たちが住む自分の家に、仕立て屋を連れて帰った。
夜の間にベッドを真っ二つにたたき割って、巨人は仕立て屋を仕留めようとする。
しかし、仕立て屋はベッドが大きいと思って、部屋の隅のほうで寝ていた。
仕立て屋が生きているのを見ると、巨人たちは小さな男を恐れて逃げ出すのだった。
次に仕立て屋は、王宮へとやってくる。
兵士たちは「一撃で7」を見て、一回の打撃で7人を倒せるのだと思い、仕立て屋を恐れるようになる。
王様はその話を聞き、仕立て屋を追い払おうとする。
仕立て屋が森の中にいる巨人を倒すことができたら、彼に国の半分と、王女との結婚を約束するのだった。
仕立て屋は、2人の巨人に隠れて岩を投げつけ、2人の巨人をケンカさせるよう仕向ける。
2人がケンカしあって倒れているスキに、仕立て屋がとどめの剣をさし、巨人退治はかんたんに終わる。
王様は約束のほうびを与えるのがイヤだったため、さらに仕立て屋に難題をぶつける。
ユニコーンやイノシシを退治するように仕向けるが、仕立て屋はうまくワナを仕掛けてあっという間にそれをクリアしてしまう。
王様はとうとうあきらめて、仕立て屋は王女と結婚し、王国の半分の統治者となる。
しかし、王女は自分の夫がただの仕立て屋だと気づくと、そんな身分の低いものは厄介払いしてほしいと父親にお願いする。
言われたとおりに家来を送るが、この悪だくみに気づいた仕立て屋は「俺は一撃で7殺したんだ」と叫び、他の連中をおびえさせた。
こうして、そのあともこの仕立て屋は、ずっと王様として君臨していくのだった。
『勇ましいちびの仕立て屋』の教訓・感想など一言コメント
タイトルにもあるように、仕立て屋は勇ましいです。
が、あくまでそれは「勘違い」の勇気なのです。
7匹のハエを倒したことで、それを自慢するかのごとく、ベルトに「一撃で7」とぬいつけます。
これを見た他の人たちが、「こいつは一撃で7人も倒したのか」と思って、仕立て屋を恐れるようになるわけです。
仕立て屋は仕立て屋で、7匹のハエを倒したことで自信がついているから、勇気がわいているのには間違いありません。
ある意味コメディのような話ですが、時にはこういったハッタリも必要だという教訓も読み取れます。
なりたい自分をイメージして、それを言い聞かせていれば、自然と理想の自分に近づいていくものですね。
アファメーション効果を前面に押し出しているような物語です。
『勇ましいちびの仕立て屋』の基本データ
収録ナンバー
KHM020
原作タイトル(ドイツ語)
Das tapfere Schneiderlein
英語タイトル
The Brave Little Tailor
日本語の別タイトル
- 「勇ましいちびの仕立て屋さん」
- 「勇敢なちびの仕立て屋」
- 「勇敢な仕立て屋の話」
など
収録版
初版から7版までずっとだが、2版から他の話も混ざっている