グリム童話『うまい商売』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
一部ネタバレを含みますので、これから読む予定の方はご注意ください。
『うまい商売』のあらすじ
あるお百姓が、牛を売って得たお金をカエルの池に投げ込む。
カエルの鳴き声が、自分の持つお金の数と合わないことに腹を立てたからだ。
その後、お百姓は牡牛を買い、その肉を売るつもりだったが、犬にすべてあげてしまう。
お金が得られなかったことに納得できず、王さまのもとへ訴えに行く。
王さまはその話を面白がり、お百姓に褒美として500を与えると告げるが、それが殴られる回数だったことが判明。
兵隊や商人がその罰を受けることになり、困惑する中でお百姓だけが得をする。
そこへユダヤ人が現れて……。
『うまい商売』の教訓・感想など一言コメント
タイトルから商人が主人公かと思いきや、実際にはちょっと抜けたお百姓さんが主役の物語です。
カエルや犬の鳴き声を勝手に自分へのメッセージだと思い込むお百姓の姿には、コミカルな魅力があります。
ドイツ語では言葉遊びの面白さがさらに伝わるのでしょうが、日本語訳でも十分にそのユーモアが感じられますね。
カエルや犬の鳴き声だけでなく、王様から与えられた「500」という数字も、殴られる回数だとは気づかないお百姓。
それでも結果的に、自分の利益に変えてしまうあたりには驚かされます。
お百姓の商売のうまさは、ある意味で「考えすぎないこと」の強みを象徴しているのかもしれません。
この話は、「深く考えず、直感で動くことで道が開ける」という教訓を教えてくれるように感じます。
また、周りに流されがちな人でも、最後には状況をうまく利用することができるという、希望のメッセージも込められているのではないでしょうか。
深刻になりすぎず、軽やかに生きることの大切さを思い出させてくれる話ですね!
『うまい商売』の基本データ
収録ナンバー
KHM007
原作タイトル(ドイツ語)
Der gute Handel
英語タイトル
The Good Bargain
日本語の別タイトル
- 「うまい取引」
など
収録版
2版から7版まで
- 本記事はグリム童話集第7版『うまい商売』をもとにした要約です。
- グリム兄弟(編)『グリム童話全集 : 子どもと家庭のむかし話』シャルロット・デマトーン(イラスト) 橋本孝・天沼春樹(訳) 西村書店, 2013年.
- 高木昌史『決定版 グリム童話事典』三弥井書店, 2017年.
- Jacob Grimm, Wilhelm Grimm. Grimm’s Complete Fairy Tales (Leather-bound Classics), Introduction by Kenneth C. Mondschein, Translated by Margaret Hunt, Canterbury Classics, 2011.
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