グリム童話『こわがることをおぼえるために旅にでかけた男』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
一部ネタバレを含みますので、これから読む予定の方はご注意ください。
『こわがることをおぼえるために旅にでかけた男』のあらすじ
「ぞっとするとはどういうことか」を知りたいと願う若者が、まずは教会の番人を訪ねる。
しかし、番人が幽霊のふりをして脅かしても、若者は全く動じない。
旅に出た若者は、通りすがりの男に首つり台を紹介されるが、そこで一晩過ごしてもぞっとすることがわからない。
やがて宿屋に泊まり、呪われた城の話を聞き、そこで三晩過ごすことを決意する。
城での三晩は奇妙な出来事の連続だった。
猫や犬の霊と格闘し、謎めいた者たちと九柱戯を楽しみ、最後には大男たちの襲撃を退ける。
若者は呪いを解いたお礼として、お姫様との結婚を許されることになる。
しかし、若者は結婚後も「ぞっとしたい」と言い続けていた……。
『こわがることをおぼえるために旅にでかけた男』の教訓・感想など一言コメント
この物語、怖い話かと思いきや、実は笑える要素もたっぷりです。
恐怖を知りたい一心で突き進む若者に、周りの人々が翻弄される様子がどこかユーモラスに描かれています。
最後の「ぞっとする」という感覚が、恐怖によるものなのか、それともただの寒さだったのか……。
その微妙なオチにクスッとしながらも、深読みしてみると「恐怖を知らない人間こそ最強だ」というテーマが浮かび上がってきます。
恐れ知らずの若者が、どんな困難にも立ち向かう姿には、ある種のたくましさを感じますよね。
怖いものがあるからこそ慎重になれる反面、怖さを知らない大胆さも時には必要なのかもしれません。
恐怖心をどう捉えるか、人それぞれの視点で楽しめる一話です!
『こわがることをおぼえるために旅にでかけた男』の基本データ
収録ナンバー
KHM004
原作タイトル(ドイツ語)
Märchen von einem, der auszog das Fürchten zu lernen
英語タイトル
The Story of the Youth Who Went Forth to Learn What Fear Was
日本語の別タイトル
- 「怖がることを習いに出かけた男の話」
- 「こわがることをおぼえるために旅にでた若者」
など
収録版
グリム童話初版には、第1巻4番に『九柱戯(ボーリング)とトランプ遊び』というタイトルで収録されていた
その後、2版から7版まで
『こわがることをおぼえるために旅にでかけた男』 の関連コンテンツ
本当は怖いグリム童話
- 本記事はグリム童話集第7版『こわがることをおぼえるために旅にでかけた男』をもとにした要約です。
- グリム兄弟(編)『グリム童話全集 : 子どもと家庭のむかし話』シャルロット・デマトーン(イラスト) 橋本孝・天沼春樹(訳) 西村書店, 2013年.
- 高木昌史『決定版 グリム童話事典』三弥井書店, 2017年.
- Jacob Grimm, Wilhelm Grimm. Grimm’s Complete Fairy Tales (Leather-bound Classics), Introduction by Kenneth C. Mondschein, Translated by Margaret Hunt, Canterbury Classics, 2011.
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