グリム童話『かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ』のあらすじや、 物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
一部ネタバレを含みますので、これから読む予定の方はご注意ください。
『かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ』のあらすじ
ある国のお姫様が、森の泉に黄金のマリを落としてしまう。
悲しくて泣いていると、一匹のカエルが現れて「仲良くしてくれるなら拾ってあげるよ」と言う。
お姫様は「いいわ」と答えるが、約束を守る気なんてなかった。
カエルが黄金のマリを拾い上げると、お姫様はそのまま城に帰ってしまう。
ところが次の日、カエルが城に現れて約束を果たすよう迫る。
嫌がるお姫様だったが、王様に命じられ、仕方なくカエルを迎え入れる。
お姫様はカエルと一緒に夕食をとり、寝室にも連れて行くことになる。
そして、ついに我慢の限界がきたお姫様がカエルを壁に叩きつけると、カエルは美しい王子様の姿に戻る。
実は、彼は魔女に呪いをかけられていたのだ……。
『かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ』の教訓・感想など一言コメント
カエルに冷たく接し、壁に叩きつけるほど嫌悪感を抱いていたお姫様が、カエルが王子様だとわかった途端に結婚する展開には、思わず「都合良すぎる!」と言いたくなりますね。
お姫様の態度は、外見で人を判断してしまう人間の弱さを象徴しているようにも見えます。
一方で、「人を外見で判断してはいけない」という教訓も込められているのかもしれません。
カエルの姿でも約束を守り、誠実に行動することが、真の価値を持つというメッセージが感じられます。
この物語には「鉄のハインリヒ」という副題がついており、ハインリヒのエピソードも興味深いポイントです。
ハインリヒが胸に巻いていた「たが」が外れるシーンは、日本語の「たがが外れる」という表現に通じるものがあり、王子様の呪いが解けたことで緊張がほぐれ、安心感に包まれたハインリヒの心情がよく伝わってきます。
この話を通じて、「誠実さの大切さ」や「見た目に惑わされない心」を改めて考えさせられます。
それにしても、壁に叩きつけられても怒らず結婚する王子様の寛容さには脱帽です!
ちなみに、「蛙化現象」という言葉の元ネタは、この物語です。
お姫様の嫌悪感、ちょっと現代っぽいですね!
『かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ』の基本データ
収録ナンバー
KHM001
原作タイトル(ドイツ語)
Der Froschkönig oder der eiserne Heinrich
英語タイトル
The Frog Prince
日本語の別タイトル
- 「かえるの王さま または鉄のハインリッヒ」
- 「かえるの王子様」
- 「かえると金のまり」
など
収録版
初版から7版まで
『かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ』の関連コンテンツ
映画・TV
- 本記事はグリム童話集第7版『かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ』をもとにした要約です。
- グリム兄弟(編)『グリム童話全集 : 子どもと家庭のむかし話』シャルロット・デマトーン(イラスト) 橋本孝・天沼春樹(訳) 西村書店, 2013年.
- 高木昌史『決定版 グリム童話事典』三弥井書店, 2017年.
- Jacob Grimm, Wilhelm Grimm. Grimm’s Complete Fairy Tales (Leather-bound Classics), Introduction by Kenneth C. Mondschein, Translated by Margaret Hunt, Canterbury Classics, 2011.
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