グリム童話『みそさざいと熊』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
『みそさざいと熊』のあらすじ
夏のある日、クマとオオカミが森の中を歩いていると、クマは美しい鳥の歌声をきいたのでオオカミにどんな鳥が歌っているのかたずねる。
オオカミはそれがミソサザイの歌声であり、鳥たちの王さまだということをクマに話す。
クマはその王さまの住む御殿がみたいというと、お妃が来るまで待たないといけないとオオカミが話した。
お妃が戻ってきて子どもたちにえさをやろうとしていたので、クマはついていこうとするが、王さまとお妃が行ってしまうまで待つようにとキツネに止められる。
しかしクマは王さまの御殿が見たくてがまんできず、しばらくしてすぐにミソサザイの巣まで戻ると、ちょうど王さまとお妃さまが飛んでいったところだった。
中に子どもたちが5,6羽いるのを見て、「貧乏たらしい御殿だ、おまえたちは王子さまじゃない」とクマがいった。
子どもたちはそれにとても腹を立てて、自分たちのお父さんとお母さんはりっぱな人で、これにはすぐに話をつけてやるとわめいたのでクマとオオカミは怖くなって逃げだした。
ミソサザイの王子たちはさわぎつづけ、クマに言われたことを父親の王さまに話し、王さまは話をつけるためにクマのところへ行って果たし合いを宣告した。
そして、クマのもとにはさまざまな4本足で歩く動物たちが集められ、ミソサザイの王さまの方には、あらゆる空を飛ぶものたちが集められた。
戦がはじまるころ、ミソサザイは蚊を偵察に出して相手の作戦を聞きにいかせ、クマはキツネを総司令官に命じていて、キツネが高くしっぽをあげたら前進するしるし、しっぽをさげたら逃げるというしるしだと決めているのを蚊がすべて盗み聞いた。
戦が始まり、両軍が地響きを立てながら近づくとき、ミソサザイはスズメバチにキツネのしっぽを刺すようにと命じる。
キツネはスズメバチに3回しっぽを刺され、3回めのときには痛みにたえられずしっぽを足の間にはさんでしまう。
動物たちはそれを見て逃げる合図だと思い、退却をしてしまったので、鳥たちが戦いに勝つことになった。
ミソサザイの王さまとお妃さまは子どもたちに戦に勝ったことを告げるが、子どもたちはクマが直接あやまりにくるまでは納得しないという。
王さまはふたたびクマのところへ行って、子どもたちにあやまるようにおどしたので、クマはすぐにその通りにした。
子どもたちはようやく満足して、みんなで楽しく遊んだ。
『みそさざいと熊』の教訓・感想など一言コメント
ミソサザイという鳥と、クマの対決を描いたプチコメディ。
動物の世界でも、やはり王の品格は問われるようです。
鳥の王さまが、他の動物たちを圧倒していく様子がおもしろいですね。
小さい身体でも、大きな者を倒せるんだという教訓が見られます。
最後に、クマを徹底的に謝らせるのも、どこかスカっとするような気にさせられる童話です。
ちなみに、ミソサザイのことをドイツ語で言うと「垣根の王さま」の意味になります。
だから、ミソサザイは王さま設定なのでしょう。
『みそさざいと熊』の基本データ
収録ナンバー
KHM102
原作タイトル(ドイツ語)
Der Zaunkönig und der Bär
英語タイトル
The Willow Wren and the Bear
日本語の別タイトル
- 「かきねの王さまミソサザイとクマ」
など
収録版
初版から7版まで