悪魔の煤けた相棒(原題:Des Teufels rußiger Bruder)
グリム童話、『悪魔の煤けた相棒』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。 結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
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ハンスという名の兵隊はおはらい箱になり、途方にくれて歩いていると悪魔である小人と出会う。
悪魔は食べものには困らないようにしてやるというが、それには7年のあいだ、体を洗わず髪をとかさずひげを刈らず、髪や爪を切らず涙もぬぐわずに働かなければならないということだった。
ハンスはそうするよりなかったので、悪魔に地獄に連れていかれた。
そこでは地獄に落ちた者たちが入った釜の下の火をかきたて、家を掃除して掃きよせたごみを戸の裏へ捨てなければならなかった。
また、釜のなかを見ることは許されなかった。
ハンスは何もかもいわれた通りにし、悪魔の小人は、旅から戻ってきてはハンスがしっかりやっているか確かめた。
あるときハンスは釜のなかが見たくて仕方なくなり、がまんできずにのぞいてしまうと、中には以前に上役だった下士官がいた。
ハンスは前にひどい目にあった腹いせに下の火にたき木を付けたして火を強くした。
このようにもう2つの釜をのぞくと、そこに上役だった見習い士官と大将も見つけ、ハンスは釜の下の火を強く燃やした。
ハンスは悪魔の小人にいわれた通り、身だしなみを一切整えることなく7年間働いたが、彼にとって時間はあっという間だった。
悪魔はハンスが釜のなかをのぞいてしまったことも知っていたが、そのあとでたき木を付け足したいなかったら命はなかったのだと教えた。
ハンスはふるさとに戻ることを決めたので、悪魔は手当てとして背のうに掃きよせたごみを持っていかせた。
そしてこのまま身だしなみは整えずに帰り、どこから来たのか聞かれたら「地獄から来た」と答え、だれなのか聞かれたら「悪魔のすすだらけの兄弟で、おれの王さまでもある」と答えるように言いつける。
ハンスは地上に出ると、受けとったごみが金に変わっていることに気づく。
立ちよった宿屋の亭主はハンスのひどい格好におどろいて、どこから来て何者なのかとたずねると、ハンスは悪魔からいわれた通り答えた。
亭主は最初ハンスを入れたくなかったが、ハンスが金を見せたのでよろこんでいちばんいい部屋に泊め、食べものをたくさんあたえた。
しかし亭主は夜中に部屋に忍びこみ、金のつまった背のうを盗んでしまう。
ハンスは宿屋を出たあと、背のうがなくなっているのに気づいてふたたび地獄へ戻り、起きたことを悪魔に話す。
悪魔はハンスの身だしなみを全て整え、もう一度掃きよせたごみを入れた背のうを渡した。
そしてハンスに、亭主のところへ行って背のうを返さないと悪魔が来て地獄にさらわれるとおどすように言いつけた。
ハンスは悪魔からいわれた通りに亭主をおどすと、亭主は盗んだ背のうに加えて余分な金をつけて返した。
こうしてハンスは金もちになったが、粗末な亜麻布の上着を着て、地獄の悪魔に習った音楽をやりながらまわり道をした。
ハンスはある王さまの前で音楽を演奏するとたいそう気に入られ、王さまはハンスに1番うえの娘を嫁にやることを約束する。
しかしその娘はハンスがいやしい身なりをしていたのでいやがり、かわりに王さまはいちばん下の娘をハンスにやった。
ハンスはその娘と結婚し、王さまが死んだあとは国もそのまま手にいれた。