KHM087 『貧乏人と金持ち』のあらすじ

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貧乏人と金持ち(原題:Der Arme und der Reiche)

 

グリム童話、『貧乏人と金持ち』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。 結末までネタバレしていますので、ご了承ください。

 

* * * * * * * *

 

むかし、神さまが下界の人間のあいだを歩き回っていて、泊まるところを探していると2軒の家を見つける。

1軒は金持ちの大きくきれいな家で、もう1軒は貧乏人の小さくてみすぼらしい家だったので、神さまは、金持ちなら迷惑になるまいと思って大きい家をたずね、泊めてもらえるかたずねた。

しかし、神さまは粗末ななりをしていたので、金持ちはそれを見て、だれでも泊めていたら自分が物ごいになってしまう、といってことわる。

 

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そこで神さまはもう1軒の小さい家の方をたずねると、貧乏人の夫婦は戸を開けるなり神さまを歓迎し、家にあった質素な食事を出して、みんなで楽しく食べた。

そして夫婦は自分たちのベッドを神さまにゆずって自分たちはわらをしいて寝た。

次の日の朝、夫婦はまたあるもので作った朝ごはんを出し、神さまは出発のときになって、夫婦はとても思いやりがあって信心深いので、願いごとを3つ叶えよう、という。

貧乏人は、死んだら天国へ行きたいということ、生きているあいだは丈夫でいられて暮らせるだけの食べものが毎日あることという願いをいう。

そして神さまが、新しい家はどうか、というので、貧乏人はそれがいただけたらありがたい幸せだ、というと、神さまはすぐにその願いを叶え、夫婦を祝福して去っていった。

 

 

金持ちは貧乏人の家が新しい家になっているのを見てびっくりし、妻に何があったのかを聞きにいかせたので、自分が昨晩断ったのは神さまだったのだということがわかり、後悔して、急いで馬に乗って神さまの後を追いかける。

金持ちは神さまに追いつくと、愛想よく話しかけ、次に戻ったときはどうかうちに泊まってください、と申しでて、おまけに自分の3つの願いも叶えてください、とたのむ。

神さまは、それはあんたのためにはならないが、といいながらも願いを叶えることを約束した。

 

 

金持ちは家に帰る途中で何を願おうか考えをめぐらせていると、手綱がはずれてしまい、乗っていた馬がはねだして制御できなかったので、思わず、おまえなんか首の骨を折ってしまえばいい、とどなる。

すると、とたんに馬は倒れて死に、金持ちは地面に落ちてしまい、けちな金持ちは馬についていたくらを取って歩きはじめる。

このように最初の願いが叶えられ、金持ちはあと2つの願いを考えながら歩いていたが、どれも後からもっといい願いがでてきそうでまったく決められずにいた。

金持ちは、自分がこうしているあいだに女房は家で気楽にしているのだろう、と思うと腹立たしくなり、ついに、女房なんて家でくらにのったままおりられなくなってしまえ、と言ってしまう。

すると、背負っていたくらがとたんに消え、あと願いごとは1つだけになったことがわかったのでかりかりしてきて、ひとりで考えるため家に帰ると、妻がくらに乗っておりられずに泣きわめいていた。

金持ちは、そのままでいてくれたら世界中の宝をおまえのものにする、といったが、妻はこのままでは宝も役に立たないからとにかく願をかけておろしてくれ、とたのんだので、金持ちはそうするほかになかった。

こうして金持ちの願いは3つとも無駄に終わったが、貧乏人夫婦は、楽しく信心深く暮らし、しまいに安らかに息を引きとった。

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