KHM081 『のんきぼうず』のあらすじ

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のんきぼうず(原題:Bruder Lustig)

 

グリム童話、『のんきぼうず』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。 結末までネタバレしていますので、ご了承ください。

 

* * * * * * * *

 

むかしあるところで大きな戦争があり、終わると兵隊たちはやめさせられ、気楽な男もやめさせられた。

与えられたのはパンと4クロイツァーだけで、気楽な男はそれを持って歩いていると、乞食に姿を変えた聖ペテロと出あう。

乞食はほどこしを求め、気楽な男はパンを4分の1に分けてそれをやり、さらに1クロイツァーを与えた。

すると聖ペテロはさらに先へ別の乞食の姿で行って気楽な男にほどこしを求めることを2回行い、男は同じだけのパンと金を与えたので、自分のもとには4分の1のパンと1クロイツァーだけ残った。

 

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気楽な男はお金を居酒屋でビールに変え、パンといっしょに食べてから外に出かけると、そこに兵隊の姿をした聖ペテロがあらわれてパンとお金を求めたので、気楽な男は、自分は何も持っていないが一文無し同士として一緒に出かけよう、という。

聖ペテロは医術の心得を持っていると話し、自分のかせぎを半分やる、と気楽な男に約束して一緒に進むと、ある農家の亭主が死にかけているところに行きあたる。

すると聖ペテロはぬり薬を出して亭主を治したので、亭主とおかみは喜んでお礼をすると申しでたが、聖ペテロは何も受けとろうとしなかった。

気楽な男は夫妻がどうしても受けとってほしいと差しだした子羊くらいは受けとってやろうとせがんだので、聖ペテロは子羊を受けとって男にかつがせる。

 

 

しばらくして2人は休憩することにし、聖ペテロは気楽な男に子羊の料理をまかせて、自分が戻るまで料理に手をつけないよう言ってから出かけたが、気楽な男は料理をするあいだに心臓を見つけ、思わず全部食べてしまう。

戻ってきた聖パウロは、自分は心臓だけを食べる、といったが気楽な男は、いくら探しても子羊に心臓はないのだと言いはった。

聖ペテロは、心臓以外は食べないといって残りは気楽な男に与え、進んでいったところで大きな川を出してそこを渡るしかないようにしむけた。

気楽な男は聖ペテロを先に行かせ自分は楽をしようとするが、男が進むたびに水かさが増していったので男は聖ペテロに助けを求める。

聖ペテロは、心臓を食べてしまったことを白状しろ、というが気楽な男はどれだけ水かさが増しても否定し続けたので、男を殺す気がない聖ペテロは水を減らした。

 

 

ある国に来ると王さまの娘が死にかけているという話を耳にし、気楽な男は聖ペテロに早くかけつけて自分たちの手柄にしようというが、聖ペテロはとてもゆっくり歩いた。

やがて王さまの娘が死んでしまったと聞くが、聖ペテロには人を生きかえらせる力があり、城に行って、王さまの娘の体を切って煮たあと骨を取りだし、それをもとの正しい位置に並べて言葉を唱える。

すると王さまの娘は生き返ったので、王さまはとてもよろこび、ほうびに国の半分を与えてもいいというが、聖ペテロは何も受けとろうとしないので気楽な男は不平をいう。

王さまは気楽な男が何か欲しがっているのを見て、男の背嚢(はいのう)に金貨をたくさん詰めた。

城を出て聖ペテロは金貨を山分けしようといい、金貨を3つに分け、この3分の1は子羊の心臓を食べた者にあたえる、というと、とたんに気楽な男は、自分が食べたと白状した。

聖ペテロは、金貨は取っておけばいいがもう自分はひとりで行く、といって気楽な男と別れる。

 

 

気楽な男は金の使いかたを知らず、すぐに金貨はなくなり、ひとりで歩きつづけていると、ある国で王さまの娘が死にかかっていると耳にする。

気楽な男は城に行って自分が生き返らせるといい、聖ペテロがやったことをそっくりそのまま真似したが、骨の正しい位置がわからなかったのでどれだけ言葉を唱えてもだめだった。

そこに聖ペテロが兵隊の姿であらわれ、骨を正しい順に並びかえて王さまの娘を生き返らせる手助けをするが、そのかわり男には何もお礼を受けとらないようにいった。

気楽な男はお礼が受けとれないのが不満で、王さまがうまく自分に金貨をやるように仕向けたので、聖ペテロは気楽な男をとがめて二度とこんなことをしないようにと男の背嚢に願うものがなんでも入る力を授けて去った。

 

 

男はやがて大金を使ってしまい、最後に残った4クロイツァーも居酒屋でワインとパンに変えた。

そこで居酒屋の亭主が焼いたがちょうを2羽だんろであたためているのを目にして、背嚢の力を試そうとそれを願うと、がちょうはすっかり背嚢の中に入っていた。

それを1羽外で食べていると、通りかかった2人の職人がうらやましそうにしているのを見て、気楽な男はもう1羽をかれらにやった。

2人の職人はそれを居酒屋に持っていって食べていると、亭主が自分からがちょうを盗んだのだと思って怒り、2人を外へ追いだしてしまう。

 

 

気楽な男はとある町に出ると、そこにすばらしい城とみすぼらしい宿があるのを見つけ、宿で1泊をたのむが貴族でいっぱいだからと断られてしまう。

宿屋の亭主は、城に入ったものは誰も戻ってこられないのだと話すが、男は自分が試してみようといって、城に入っていく。

そこで横になって寝てしまい、夜中に目ざめると9匹の悪魔がまわりで踊っていたので、気楽な男はその悪魔たちを全部背嚢に入るよう願い、悪魔を残らずきれいにした。

城の持ち主は男に感謝のほうびを与え、自分のもとで奉公しないかといったが、気楽な男は、自分は旅が性に合っているといって出ていき、鍛冶屋のもとへ行って、背嚢をハンマーでたたくようたのんだ。

そして8匹の悪魔を退治したが、1匹だけ生き残っていて、地獄に飛んで帰っていった。

 

 

気楽な男は年をとり、死ぬことを考えて隠者のもとへ行き、広く楽な道をたどれば地獄へ着き、せまく骨の折れる道をたどれば天国へ着く、ということを知る。

気楽な男は広くて楽な道を選んだが、その先の地獄の門番は、背嚢の中で唯一生き残った悪魔だった。

悪魔は気楽な男を恐れて、地獄の門を閉ざしたので、気楽な男は天国への骨の折れる道を行くしかなかった。

しかし天国の門番は聖ペテロであり、気楽な男を断じて入れないようにしたので、気楽な男は、それでは背嚢も返して縁を切る、といって聖ペテロに背嚢を返した。

聖ペテロは背嚢を持って天国の中に戻ると、そこで気楽な男は、今度は自分が背嚢の中に入るように願ったので、気楽な男は背嚢の中へおさまり、聖ペテロはしかたなく男を天国へおくことにした。

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