グリム童話『背嚢と帽子と角笛』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
一部ネタバレを含みますので、これから読む予定の方はご注意ください。
目次
『背嚢と帽子と角笛』のあらすじ
貧しい3兄弟の末弟が、旅の途中で魔法のテーブルクロス、兵隊の出る背嚢、大砲を生み出す帽子、そして全てを崩壊させる角笛を手に入れる。
その男は強大な力で王さまと戦い、王女と結婚するが、妻の裏切りに遭う。
そして、男は角笛で全てを破壊することを決意し……。
『背嚢と帽子と角笛』の教訓・感想など一言コメント
『背嚢と帽子と角笛』は、魔法のアイテムが次々と登場する物語。
特にテーブルクロスは、いつでもごちそうが出てくる便利さが目を引きます。
『ドラえもん』の「ぐるめテーブルかけ」みたいですね。
背嚢というのは、今でいうリュックのようなものです。
叩くと兵隊が出てくるという、強いアイテムになっています。
さらに、帽子は大砲を出し、角笛は1回吹くだけで街が崩れるという、もはや最強の軍隊です。
しかし、主人公の行動は少し考えさせられます。
奪ったアイテムをさらに強奪し、力を増していくやり方は、必ずしも善とは言えません。
その結果、力に頼る生活が最後まで彼の運命を支配します。
物語のクライマックスでの夫婦の葛藤や裏切り、そして結末に至る破壊の描写は、力に執着することの危険性を象徴しているようです。
物質的な力に頼るだけでは真の幸せは得られない……そんなメッセージが込められているのかもしれません。
読後には少し複雑な気持ちが残る作品ですね。
『背嚢と帽子と角笛』の基本データ
収録ナンバー
KHM054
原作タイトル(ドイツ語)
Der Ranzen, das Hütlein und das Hörnlein
英語タイトル
The Knapsack, the Hat, and the Horn
日本語の別タイトル
特になし
収録版
2版から7版まで
- 本記事はグリム童話集第7版『背嚢と帽子と角笛』をもとにした要約です。
参考資料
- グリム兄弟(編)『グリム童話全集 : 子どもと家庭のむかし話』シャルロット・デマトーン(イラスト) 橋本孝・天沼春樹(訳) 西村書店, 2013年.
- 高木昌史『決定版 グリム童話事典』三弥井書店, 2017年.
- Jacob Grimm, Wilhelm Grimm. Grimm’s Complete Fairy Tales (Leather-bound Classics), Introduction by Kenneth C. Mondschein, Translated by Margaret Hunt, Canterbury Classics, 2011.
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