『おやゆびこぞう』のあらすじなど (KHM037)

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グリム童話『おやゆびこぞう』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。

結末までネタバレしていますので、ご了承ください。

目次

『おやゆびこぞう』のあらすじ

むかし、1人の貧乏な農夫がおり、妻とのあいだには子どもがいなかった。

ある夜、妻は、どんなに小さくても、親指くらいの大きさでも、子どもが1人さえいればかわいがるのに、とつぶやく。

すると、7か月たって1人の子どもが生まれ、その子は親指ほどの大きさしかなかった。

2人はその親指小僧と名づけられた子を心からかわいがり、たくさんの食べ物をあたえたが、大きさは生まれたときのままだった。

しかし、親指小僧はとてもかしこく、やることはなんでもうまくいった。

ある日、農夫は森にいくときに、誰かがあとで荷馬車を持ってきてくれればなあ、と1人言をいうと、親指小僧は、自分があとで荷馬車を持っていくと言いだす。

親指小僧があまりにも自信たっぷりに言うので、父親はためしてみようと思った。

時間がきて、親指小僧は母親に馬の耳に座らせてもらい、声を出して馬をしっかりと父親のいるところまで導いた。

そのようすを2人の男が見ており、親指小僧を見て、町で見せ物にしたらひともうけできると思い、農夫に近づき、親指小僧を売ってほしいという。

父親は、いくらお金を積まれてもそれはできないといったが、親指小僧は、かならず戻ってくるから自分を売ってくれ、と父親に言いきかせる。

そして親指小僧は2人の男の手に渡り、どこに座りたいかと聞かれたので、帽子の上に乗せてくれとたのんだ。

しばらくいくと、親指小僧は用を足したいので、おろしてくれと男たちにたのむ。

そして、畑の上におろされたとたん、前から知っていたネズミ穴にもぐりこみ、男たちは必死で探しにかかったが、親指小僧はうまく逃げることができた。

親指小僧はちょうどみつけたかたつむりの殻の中で休もうとしていたが、2人のどろぼう男たちが通りかかり、金もちの牧師から金と銀をまきあげるにはどうしたらいいかと話しているのを耳にした。

親指小僧は大きな声で、どうすればいいか教えてやる、と男たちに呼びかけた。

男たちはびっくりして、親指小僧を見つけだし、どういうことなのかきくと、親指小僧は窓から部屋に忍びこんで、男たちのほしいものをとってくるという。

2人のどろぼう男は、それを試そうときめ、牧師館にむかった。

親指小僧は部屋に入りこむと、とても大きな声で、なにがいるのか、ここにあるのは全部ほしいのか、と叫ぶ。

男たちはあわてて、もっと小さい声で話せというが、親指小僧はかまわず大きな声で同じことを叫びつづける。

それを隣の部屋できいていた女中が、ベッドから起きて部屋に入ってきたので、どろぼうたちはとてもあわてて逃げて走っていった。

女中は部屋じゅうを探しても何もみつからないので、夢だったのだと思いベッドにもどり、親指小僧はそのすきに、外の納屋のほし草の中で朝まで休もうと眠りこむ。

明け方になり、女中が家畜にえさをやるために納屋にやってきて、ちょうど親指小僧の寝ていたほし草をつかみ、牛にやってしまう。

親指小僧は牛の口の中で目覚め、そのまま胃の中へ落ちてしまった。

胃の中はとても暗く、その上新しいほし草がどんどん落ちてくるので、新しいえさはもうけっこうだと、親指小僧は何度も叫んだ。

女中は、叫び声は聞こえるのに誰もみあたらず、おまけにその叫び声は昨晩部屋からきこえた声と同じだったので、びっくりして牧師に牛が口をききました、と伝えにいく。

牧師は信じられなかったが、たしかめるために牛小屋に足を踏みいれたとたん、親指小僧が牛の中から、新しいえさはけっこうだ、ともう一度叫ぶ。

牧師はおどろき、牛に悪霊が入ってしまったのだと思って、牛を殺すよう命じる。

そこで牛はつぶされ、親指小僧の入った胃袋は捨てられた。

親指小僧がようやく胃袋から抜け出そうとしたとたん、今度はオオカミがきて、胃袋をひとのみにしてしまう。

親指小僧は知恵をしぼり、オオカミの腹の中から大声で、すばらしいえさのあるところを知っている、と呼びかける。

そうして、親指小僧はオオカミに父親の家の場所を細かく教え、その夜には家の食料貯蔵室へたどりつき、たらふく食べた。

オオカミはお腹いっぱいになりすぎて動くごとができず、そのすきに親指小僧はオオカミの腹の中で大声を出してあばれだす。

オオカミは家の人にばれてしまうとあせったが、親指小僧はかまわず叫びつづけると、やがて父親と母親が目をさまし、部屋までかけつける。

父親と母親はオオカミがいるのでびっくりし、やっつけようとすると、そこに親指小僧が自分はオオカミの中にいるのだ、と叫ぶ。

父親はとてもよろこんで、親指小僧がけがをしないように、オオカミの頭にオノを一発うちおろし、オオカミはそのまま倒れて死ぬ。

そして2人はナイフとハサミでオオカミのお腹を切り、親指小僧を引きだした。

親指小僧は自分のしてきた旅のことを話し、両親はもう二度と親指小僧を売るようなことはしないと決め、3人はよろこびあった。

両親は親指小僧に食べ物と飲み物をあたえて、新しい服をあたえた。

親指小僧の服は、旅の途中でぼろぼろになっていたのだ。

『おやゆびこぞう』の教訓・感想など一言コメント

日本の『一寸法師』やアンデルセンの『親指姫』とも似ている童話。

小さい身体で世界に出て、大きな敵と立ち向かっていく勇気の物語です。

特殊能力があるわけでもないのに、よく機転が利き、冒険を攻略していきます。

パワーだけがすべてでないと教えてくれるような、勇気づけられるお話です。

『おやゆびこぞう』の基本データ

収録ナンバー

KHM037

原作タイトル(ドイツ語)

Daumsdick

英語タイトル

Thumbling

日本語の別タイトル

  • 「親指小僧」

など

収録版

2版から7版までずっと

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