グリム童話『天国へ行った仕立て屋』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
一部ネタバレを含みますので、これから読む予定の方はご注意ください。
目次
『天国へ行った仕立て屋』のあらすじ
仕立て屋が天国の門を訪れ、聖ペテロの情けで中に入る。
しかし、仕立て屋は神のひじかけいすに座り、下界で見た老婆の行動に腹を立て金の足台を投げつける。
戻った神に問いただされると、自らの裁きの正当性を語る。
しかし神は、裁くのは自分だけだと仕立て屋を諭し、天国から追放する……。
『天国へ行った仕立て屋』の教訓・感想など一言コメント
仕立て屋が天国へ入って、神様のように罰を下してしまうお話。
仕立て屋の小さな過ちが引き起こす大きな出来事を描いた、寓話的な物語ですね。
天国という神聖な場所で神の座に座るだけでなく、自分の怒りを正当化して行動する仕立て屋の姿は、自分の判断で物事を決める危うさを教えてくれるようです。
金の足台を投げつけるという行為は、その衝動性や短気さが強調されています。
仕立て屋は正直者といえども、自らの感情に支配され、正義をはき違えた結果、天国を追われてしまいます。
この流れは、裁きや判断は慎重であるべきだと警告しているようですね。
また、聖ペテロの情け深さと神の厳格さが対照的で、天国の秩序と責任の重みが感じられますね。
裁くことができるのは神だけであり、人間の勝手な正義感がどれだけ危険であるかを考えさせられる物語です。
天国から追放された仕立て屋がどんな心境だったのか………想像すると少し切ないですが、深い教訓が込められたお話です!
『天国へ行った仕立て屋』の基本データ
収録ナンバー
KHM035
原作タイトル(ドイツ語)
Der Schneider im Himmel
英語タイトル
The Tailor in Heaven
日本語の別タイトル
- 「天国へ行ったしたてやさん」
- 「天国の仕立て屋」
など
収録版
2版から7版までずっと。4版から少し話が変わっている
- 本記事はグリム童話集第7版『天国へ行った仕立て屋』をもとにした要約です。
参考資料
- グリム兄弟(編)『グリム童話全集 : 子どもと家庭のむかし話』シャルロット・デマトーン(イラスト) 橋本孝・天沼春樹(訳) 西村書店, 2013年.
- 高木昌史『決定版 グリム童話事典』三弥井書店, 2017年.
- Jacob Grimm, Wilhelm Grimm. Grimm’s Complete Fairy Tales (Leather-bound Classics), Introduction by Kenneth C. Mondschein, Translated by Margaret Hunt, Canterbury Classics, 2011.
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