グリム童話『はつかねずみと小鳥と腸づめの話』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
一部ネタバレを含みますので、これから読む予定の方はご注意ください。
『はつかねずみと小鳥と腸づめの話』のあらすじ
昔、ねずみと小鳥とソーセージが平和に暮らしていた。
それぞれの役割をしっかり果たすことで生活は順調に進んでいた。
しかしある日、小鳥が他の鳥に「自分だけ苦労している」と言われ、その言葉を真に受けて役割を交換することに。
ソーセージはたきぎを取りに出かけるが、道中で犬に襲われて帰らぬ存在となる。
次に、ねずみが料理をしようとソーセージのまねをして鍋に入ってしまい、小鳥も……。
『はつかねずみと小鳥と腸づめの話』の教訓・感想など一言コメント
『わらと炭とそら豆』にも似ているブラック・コメディ。
今回の主役は、ネズミ、小鳥、そして腸づめ(つまりソーセージ)です。
生き物でない主人公が入ると、けっこうハチャメチャな話になることが多いようですね(笑)
役割を変えたことでバランスが崩壊し、取り返しのつかない結果になったこのお話。
シュールでブラックな展開に思わず驚きますが、実は「安定した環境や役割にはそれぞれ理由がある」という教訓が隠されています。
今までの安定を崩すというのは、大きなチャンスである一方、大きなリスクも抱えるということ。
安定のある生活なら刺激がないが、リスクは少ない。
今が幸せな人こそ、逆に新しいことをやってみたくなるのでしょう。
周りの言葉に流されて無理に変えると、思わぬリスクが待ち受けていることも?
「隣の芝生は青く見える」という言葉がぴったりですが、新しいことに挑戦する時は、今のバランスや幸せをしっかり見極めることも大切ですね。
ハチャメチャな展開ながらも、何だか考えさせられる一話です(笑)
『はつかねずみと小鳥と腸づめの話』の基本データ
収録ナンバー
KHM023
原作タイトル(ドイツ語)
Von dem Mäuschen, Vögelchen und der Bratwurst
英語タイトル
The Mouse, the Bird, and the Sausage
日本語の別タイトル
- 「二十日ねずみと小鳥と焼きソーセージの話」
- 「小ねずみと小鳥と焼きソーセージ」
など
収録版
初版から7版までずっと
- 本記事はグリム童話集第7版『はつかねずみと小鳥と腸づめの話』をもとにした要約です。
- グリム兄弟(編)『グリム童話全集 : 子どもと家庭のむかし話』シャルロット・デマトーン(イラスト) 橋本孝・天沼春樹(訳) 西村書店, 2013年.
- 高木昌史『決定版 グリム童話事典』三弥井書店, 2017年.
- Jacob Grimm, Wilhelm Grimm. Grimm’s Complete Fairy Tales (Leather-bound Classics), Introduction by Kenneth C. Mondschein, Translated by Margaret Hunt, Canterbury Classics, 2011.
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