グリム童話『なぞなぞ』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
『なぞなぞ』のあらすじ
むかし1人の王子がいて、1人の忠実な召使いを連れて旅をしていた。
ある日、大きな森に入りこんでしまった王子は、若く美しい娘を見つけたので、泊めてもらえるかたずねる。
娘は王子に、「自分の家には魔女のまま母がいるので、家に来るのはおすすめできない」と伝えた。
しかし、王子は他の場所を見つけることもできないと思い、そして魔女は怖いと思わなかったので、家の中に入っていった。
魔女の老婆はこれを歓迎し、王子と召使いにゆっくり休むよう声をかける。
一方で若い娘は、家では何も食べないようにと2人に忠告する。
しっかり眠った翌朝、2人が家を出ていこうとすると、魔女の老婆が飲み物を渡そうとする。
王子は、魔女が飲み物を取りに行っている間に、馬に乗って逃げた。
召使いのほうはまだ鞍をつけておらず、魔女が戻ってきたときにその場に残っていた。
老婆がその飲み物を差し出したとたん、グラスがはじけて中の飲み物が馬にかかってしまった。
その毒はとても強く、馬はすぐに倒れてしまった。
召使いは王子のところに走って追いつき、事情を話し、鞍を取りに馬のところに戻った。
そこではカラスが馬の肉をむさぼっており、召使いはそのカラスを食料にしようと、殺して持ち帰った。
2人はまた森の中でさまよい、今度は宿屋を見つけた。
亭主にカラスを調理するよう渡すが、その宿屋は人殺しの隠れ家であった。
夜に12人の人殺しがやってきて、王子と召使いを手にかけようとするが、その前に食卓についてカラスのスープを飲んだ。
すると、そのカラスには強い毒が残っていて、とたんに全員死んでしまう。
宿屋には1人の誠実な娘がいて、王子と召使いに家の宝をすべて見せるが、王子は娘に宝は取っておくよう言い、先へ進む。
2人はやがて町に入り、そこには美しいが傲慢なお姫さまがいた。
お姫さまは、誰かが自分になぞを出し、「解けなかったらその者と結婚する」「解けたらその者の首をはねる」というおふれを出していた。
制限時間は3日だったが、お姫さまの解けなかったなぞは今までなく、すでに9人の犠牲者がでていた。
王子はそのお姫さまの美しさに目がくらみ、ひとつのなぞを出した。
「ある人が1人もうち殺さなかったのに、12人の者をうち殺した。これは何か。」
お姫さまは考えても解けなかった。
そこで女中をつかい、王子の寝室へしのびこませ、寝言でなぞをもらすのを聞いてくるように命じる。
しかし、召使いが代わりにベッドで寝ており、女中のマントをはぎとり追い出した。
2日目の晩に、次は侍女をつかわしたが、やはり召使いがマントをはぎとり追い出した。
3日目の晩には、ついにお姫さまがみずからしのびこんだ。
王子はもう大丈夫だと思いベッドで寝ていたが、お姫さまが来たことがわかり、寝ているふりをしながらなぞをもらし、そしてお姫さまのマントをつかんだ。
翌朝、お姫さまは12人の裁判官の前でなぞを解いた。
だが、王子はお姫さまが自分の寝室にもぐりこみ、答えを聞き出したことを3着のマントとともに裁判官に訴える。
そして裁判官はお姫さまのマントを見て、金と銀で刺繍をすれば、婚礼用のマントになるだろうと言い放った。
『なぞなぞ』の教訓・感想など一言コメント
タイトルから、「なぞなぞ」がメインになりそうな童話ですが、意外とそうでもありません。
なぞなぞが出てくるのは最後のほうで、そこに至るまでは冒険アクションといった感じです。
版を重ねるうちに他の話と結合して長くなったようで、ちょっとつじつまの合わない部分もあったりします。
また、魔女が2人出てくるのもおもしろいポイントです。
毒を飲ませようとした魔女と、次の宿で毒入りカラススープを飲む魔女。
知らない人に出されたものは、安易に口をつけてはいけない……なんて、どこかのアニメにありそうな教訓も読み取れます。
なぞなぞを出されたお姫様が、手段を問わずに答えを探し出すのも見どころ。
お姫様の強欲さがしっかりと描かれています。
『なぞなぞ』の基本データ
収録ナンバー
KHM022
原作タイトル(ドイツ語)
Das Rätsel
英語タイトル
The Riddle
日本語の別タイトル
- 「謎」
- 「なぞ」
など
収録版
2版から7版まで。3版から他の話と混ざっている