グリム童話『漁師とおかみ』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
『漁師とおかみ』のあらすじ
かつて、海辺であばら屋で妻と一緒に暮らしている貧しい漁師がいた。
ある日、漁師は金色のヒラメを捕えるが、ヒラメは見逃してほしいと頼む。
漁師は、親切にもヒラメをリリースする。
そのあと、妻がその話を聞くと、ヒラメに願いをかなえてもらうべきだと言ったため、漁師は海に戻る。
漁師はヒラメに、素晴らしい家を与えてくれるように願う。
漁師が家に帰ると、そこには見事な豪邸が建っていた。
妻にせがまれて、漁師はまた海へ行き、ヒラメを呼び出す。
漁師は新しい富に満足しているが、妻はそうではなかった。
ヒラメにさらに要求すること、それは漁師が王様になることだった。
まだまだ願いをかなえたい妻は、夫をヒラメのもとへと送り出す。
夫はまちがっていると思うが、妻には物事の道理がわからない。
ヒラメを悩ませてはならないと思う夫に対し、妻はたくさんの願いにまったく満足していなかった。
ヒラメはどんどん願いを叶えてくれるが、そのたびに海はますます激しさを増すのだった。
最終的に、妻は月と太陽を制し、神と同じレベルになりたいという行き過ぎた願いをかける。
その最後の願いが行われるとき、ヒラメはすべての願望をなかったことにして、もとのあばら家に漁師と妻を戻すのだった。
そのおかげで、海はもう一度穏やかさを取り戻した。
『漁師とおかみ』の教訓・感想など一言コメント
ヒラメが願いを叶えるたびに海が荒れていくという、ある意味壮大なストーリー。
しかも猟師の妻は神のレベルまでになりたいとも言い出します。
願いをかなえてくれる系のお話しはけっこうありますが、これは海が絡むこともあって、スケールが大きいですね。
この話はけっこう長く、ヒラメがひたすら願いを叶えていってくれます。
願うのは猟師のおかみ(妻)で、人間の欲深さが見てとれます。
満たされても満たされても、もっと大きな欲望を満たしたいのです。
それに対して、猟師のほうは欲がまったくありません。
神になりたいとまでいう妻に対し、猟師は猟師のままがいいのです。
ちなみに、願いを叶えてくれるヒラメは、魔法にかかった王子様とのこと。
自分の魔法は解けず、王子様はヒラメのままで終わってしまいます。
つまり、おかみさんだけが欲に暴走しているわけです。
欲深くなっても、最終的にはすべて失いますよと言わんばかりのエンディング。
欲もほどほどにしておかないと、中毒性があるということですね。
『漁師とおかみ』の基本データ
収録ナンバー
KHM019
原作タイトル(ドイツ語)
Von dem Fischer und seiner Frau
英語タイトル
The Fisherman and His Wife
日本語の別タイトル
- 「漁師とその妻」
- 「漁師とその妻の話」
- 「漁師とその女房の話」
など
収録版
初版から7版までずっとだが、5版から少し話が変わっている