『ならずもの』のあらすじなど (KHM010)

グリム童話『ならずもの』のあらすじや、関連情報などを詳しく紹介します。
目次
『ならずもの』のあらすじ
オンドリとメンドリはくるみを取りに山へ入った。
ニワトリたちはくるみをたらふく食べ、歩いて帰るのがイヤになった。
そこで、くるみの殻で車を作った。
しかし、どちらが車を引いていくかで争っていた。
そこへカモが現れ、ニワトリとカモは喧嘩をすることに。
喧嘩に勝ったニワトリたちは、カモに車を引かせて山を下りることになる。
その途中、とめ針とぬい針に出くわす。
疲れたこの針たちを乗せた一行は、町の宿屋に泊まることになった。
宿屋の主人は一行をあやしがったが、しぶしぶ泊めることに。
しかしその翌朝、ニワトリたちはぬい針を主人のいすに刺し、とめ針をタオルに刺した。
そして、そのまま逃げ去っていった。
ニワトリたちが逃げる音を聞き、カモも急いで逃げていった。
目をさました宿屋の主人はタオルで顔を拭こうとしてとめ針に突き刺され、いすに座ろうとしてぬい針にひどく突き刺された。
怒った主人がニワトリを探すも、もぬけの殻。
もうこの先、こんなならずものたちは絶対に泊めないと誓うのだった。
『ならずもの』の感想・一言コメント
動物たちがハチャメチャな騒動を起こす話。
グリム童話には、たまにこんなガス抜きのような話が現れる。
とりわけネタとしておもしろいのは、「とめ針」と「ぬい針」だろう。
「針」が普通に動物の仲間になって、普通に宿屋を荒らしに行く。
そこには、何のツッコミも許されないのが、グリム童話の世界である。
教訓があるとすれば、「やばい奴らには気を付けろ」ということか……。
ストレスがたまっている人は、ぜひ読んでみてほしい。
『ならずもの』の基本データ
収録ナンバー
KHM010
原作タイトル(ドイツ語)
Das Lumpengesindel
英語タイトル
The Pack of Ragamuffins
日本語の別タイトル
- 「ろくでなし」
- 「ならず者」
など
収録版
初版から7版までずっと
『ならずもの』の本
『初版グリム童話集1』/ 訳:吉原高志、吉原素子 / 白水ブックス
『ならずものたち』として、1番目に収録されているグリム童話集の初版。初版のバージョンはどんなだったか、気になる方はぜひ読んでいただきたい。
『完訳 グリム童話集 1』/ 訳:金田鬼一 / 岩波書店
『ならずもの』収録のグリム童話集。こちらは、しっかりした解説付きの金田鬼一訳。本格的な昔の訳を楽しみたい方にオススメ。
『完訳 グリム童話集 1』/ 訳:高橋健二 / 小学館
『ならずもの』収録のグリム童話集。こちらは挿絵付きの高橋健二訳。気軽に楽しみたい方にオススメ。