グリム童話『奇妙な音楽家』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
『奇妙な音楽家』のあらすじ
奇妙な音楽家は、森の中を通っていた。
そこでバイオリンを弾き始めると、オオカミがやってきた。
音楽家はオオカミを仲間にはしたくなかった。
オオカミは「バイオリンを習いたい」と言い、音楽家は「わたしの命じることはなんでもやりなさい」と言った。
そして、オオカミは音楽家についていくことになった。
しばらく歩くと、カシの木の空洞に裂け目があり、音楽家はオオカミに足を突っ込むよう命じた。
そのとおりにしたオオカミの足を、音楽家は石で押さえつけてしまい、ずっと待っているよう言い残して去っていった。
退屈だと感じていた音楽家はまたバイオリンを弾いた。
すると今度は、キツネがやってきた。
音楽家はキツネも仲間にしたくなかった。
同じようにキツネもバイオリンを習いたいと言い、命令に従った。
音楽家についていったキツネは、ハシバミの木につるされ、音楽家は去っていった。
またバイオリンを弾くと、今度はウサギがやってきた。
ウサギも仲間にしたくなかった。
同じようにウサギもバイオリンを習いたく、命令に従った。
ウサギは首にひもをつけて、ヤマナラシの木のまわりをぐるぐる回り、ひもが巻き付いて身動きが取れなくなってしまった。
音楽家はまたウサギを置き去りにしていった。
そのころ、オオカミは自力で木から抜け出し、怒り狂って音楽家を追った。
途中でキツネとウサギとも合流し、全員で仕返しをしようとしていた。
音楽家はまたバイオリンを弾くと、今度は動物ではなく、きこりがやってきた。
初めて人間がやってきたことに音楽家は喜んだ。
そのとき、オオカミとキツネとウサギが復讐しにやってくるが、きこりがオノを片手にこの動物たちを追い払う。
音楽家はそのお礼にもう一曲聞かせたあと、旅をつづけていくのであった。
『奇妙な音楽家』の教訓・感想など一言コメント
音楽がキーワードになる童話。
バイオリン弾きに、動物がどんどんついてくるのがおもしろいストーリーです。
嫌々ながら動物たちを引き連れていた音楽家は、どんどん動物を見捨てていきます。
それで、最終的には仕返しをされるという、ある意味リベンジものです。
しかし結局、動物たちのリベンジは失敗に終わってしまいます。
エンディングは意外と平穏な感じですね。
音色を奏でる音楽家に動物がついてくるというのは、『ハーメルンの笛吹き男』の話にもちょっと似ているかもしれません。
今みたいにネットですぐ音楽が聴ける時代ではないので、音楽家は重宝されていたのでしょう。
グリム童話の時代(19世紀)なら、教会でもよくコンサートが開かれていた時代。
心の平穏を求める人が、音楽を聴きにきていたわけです。
音楽には人を(人以外も)惹きつける魔力がある、ということがわかるような童話ですね。
『奇妙な音楽家』の基本データ
収録ナンバー
KHM008
原作タイトル(ドイツ語)
Der wunderliche Spielmann
英語タイトル
The Wonderful Musician
日本語の別タイトル
- 「きみょうな旅芸人」
- 「不思議な楽士」
- 「ふしぎなバイオリン弾き」
など
収録版
2版から7版まで