グリム童話『忠臣ヨハネス』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
一部ネタバレを含みますので、これから読む予定の方はご注意ください。
『忠臣ヨハネス』のあらすじ
忠実なヨハネスは、亡き王様の遺言を受けて、その息子である若き王に仕えることになる。
父王はヨハネスに「城の中の最後の小部屋だけは見せてはいけない」と言い残していた。
その部屋には、黄金の屋根の姫の肖像画が隠されており、若き王がそれを見れば激しい恋心を抱くと言われていたのだ。
しかし、ある日ヨハネスはその部屋を若き王に見せてしまう。
予言通り、若き王は姫に恋をし、ヨハネスを伴って姫が住む金の館へ向かう。
ヨハネスは商人を装い、巧みに姫を船へ連れていくことに成功する。
航海中、ヨハネスは3羽のカラスの話す声を聞き、王と姫に訪れる危険を知る。
それらの危険を防ぐため、ヨハネスは密かに行動を起こすが、その行動が誤解を招き、牢に入れられる。
処罰の場で真実を告げると、王はヨハネスの忠誠に感謝するが、ヨハネスは石になってしまう……。
『忠臣ヨハネス』の教訓・感想など一言コメント
忠誠心と信頼をテーマにした物語です。
ヨハネスの誠実さと献身的な行動が、この話の一番の魅力でしょう。
亡き王の遺言を守りながら、その息子である若き王にも尽くす姿は、まさに父親代わりのような存在です。
ヨハネスと若き王の関係は、まるでバットマンと執事アルフレッドのよう。
どんな危険にも一人で立ち向かい、王を支えるその姿は、まさに理想の忠臣といえます。
3羽のカラスの予言を聞き、それに基づいて全ての危険を未然に防ぐために行動する彼の姿には、ひたむきさと知恵が光っています。
しかし、その忠誠心が誤解を招いて牢に入れられる展開は切ないものがありますね。
最後には、自ら石になりながらも王を守り通すヨハネスの行動が、読者の胸を打ちます。
そして、その忠誠心に応えるように、若き王が子どもたちを犠牲にしてヨハネスを生き返らせる場面は、信頼と絆の深さを描いているように感じます。
この物語を通じて、「信じる者同士の絆」や「真心で応えることの大切さ」を考えさせられます。
まるで壮大な映画のような展開に、物語のスケールの大きさを感じる一話ですね!
『忠臣ヨハネス』の基本データ
収録ナンバー
KHM006
原作タイトル(ドイツ語)
Der treue Johannes
英語タイトル
Faithful John
日本語の別タイトル
- 「忠実なヨハネス」
など
収録版
2版から7版まで
- 本記事はグリム童話集第7版『忠臣ヨハネス』をもとにした要約です。
- グリム兄弟(編)『グリム童話全集 : 子どもと家庭のむかし話』シャルロット・デマトーン(イラスト) 橋本孝・天沼春樹(訳) 西村書店, 2013年.
- 高木昌史『決定版 グリム童話事典』三弥井書店, 2017年.
- Jacob Grimm, Wilhelm Grimm. Grimm’s Complete Fairy Tales (Leather-bound Classics), Introduction by Kenneth C. Mondschein, Translated by Margaret Hunt, Canterbury Classics, 2011.
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