グリム童話とは?有名すぎる怖い童話集の真実

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グリム童話とは?本当は怖い童話集

「グリム童話」は、19世紀にドイツで出版された、世界で一番読まれているといわれる有名な童話集です。

しっかり読んだことがなかったとしても、グリム童話と聞いて「なにそれ?」と言う人はあまりいないでしょう。

グリム童話とはそもそもどんな童話なのか?

この記事では、グリム童話の真実について詳しく解説していこうと思います!

目次

グリム童話の正式名称

グリム童話の正式名称は『子供と家庭のための童話集』といいます。

  • ドイツ語での原題は『Kinder- und Hausmärchen』
  • 英語では『Children’s and Household Tales』

です。

日本では「グリム童話」の愛称で通っていますが、もともとは「グリム童話集」というように、「童話集」となっています。

あくまで「童話集」です。

また、日本語では、「märchen(メルヘン)=童話」と訳していますが、必ずしも「märchen=童話」とは限りません。

日本では、子ども向けのお話であることを強調するために「童話」という言葉を使ったのでしょう。

そもそもなぜ「グリム」童話になっているかというと、この童話集を作り上げたのが「グリム」という名を持つ兄弟だからです(一説では、英語で「grim=気味が悪い、恐ろしい」という意味を持つからだとも言われていますが)。

しかし、そんな名前を付けられながら、童話の話そのものは、グリム兄弟が作ったものではないのです。

グリム兄弟が「編集」したグリム童話

グリム童話はグリムという人が作った童話だと思っている人も多いかもしれませんが、グリムさんが考えた童話ではありません。

ヤーコプ・グリム、ヴィルヘルム・グリムという2人の兄弟が、「編集」した童話集です。

物語を作ったのではなく、編集しただけです。

つまり、グリム童話と言っておきながら、グリムさんが作った物語は一切ないのです。

すべて、どこかの誰かさんに聞いた話だとか、地方の民話(だいたいはドイツ国内)を集めたものにすぎません。

それゆえ、「童話集」と呼ばれているわけです。

そして、お話を集めて編集するという行為がとんでもなく大変なので、その功績を高く評価されているのです。

童話集に含まれる物語の中には、もともと有名作家が書いていた作品を改変したものも存在します。

フランスのシャルル・ペローという詩人なんかは、グリム童話に出てくる有名な童話をけっこう提供してくれています(シンデレラや、赤ずきんなど)。

グリム兄弟たちは、決してグリム童話を書いた作家ではありません。

「グリム童話」は、あくまで「グリム兄弟が集めた、童話集」ということなのです。

グリム童話の歴史

グリム童話がドイツで初めて出版されたのは1812年のクリスマス直前。もう200年以上も前のことになります。

ドイツで初版が世に出た当時は、決して「童話」などと呼べる、かわいらしいお話ではありませんでした。

いわゆる「怖いグリム童話」ですね。

その残酷さゆえ、グリム兄弟がこの世を去る直前の1858年までに、7度の改変を経ています。

「こんなもの子どもに読ませられるかーっ!」と批判が相次ぐほどの、残酷さだったわけです。

しかし、グリム兄弟の兄、ヤーコプ・グリムは、どちらかというと大人の読者を想定していたようですね。

ゆえに残酷な描写も多かったわけですが、弟のヴィルヘルム・グリムが少しずつ子ども向けに表現をやわらかくし、子ども向けの「メルヘン」というスタイルを生み出していきました。

以下、グリム童話の改変の歴史をまとてみます。

  • 1812年・1815年 初版
  • 1819年 第2版
  • 1837年 第3版
  • 1840年 第4版
  • 1843年 第5版
  • 1850年 第6版
  • 1857年 第7版

現在われわれが目にするグリム童話は、1858年に出版された最終稿の第7版であることが多いです。

『シンデレラ』や『白雪姫』の原作といったら、まずはグリム童話の7版に目を向けられるでしょう。

しかし、実際には7版よりも初版のほうがさらに怖いため、「本当は怖いグリム童話」というのは、残酷描写が削られる前のグリム童話「初版」を指すこともあります。

ちなみに、日本に初めて紹介されたのは、1887年(明治20年)だと言われています。日本の翻訳版でも、明治時代の半ばごろから、徐々に残酷な描写が削られていったようです。

とはいえ、第7版のグリム童話もけっこう残酷さは残っています。

ディズニー映画や絵本になっているお話と比べれば、もともとのグリム童話は「本当は怖い」と言われてしまうだろう。

グリム童話の童話一覧と収録童話数

グリム童話の童話一覧やあらすじについては、以下の記事をご覧ください。

⇒グリム童話の童話一覧

最終版の童話一覧をまとめてあります。

グリム童話の中に収録されているお話は、最終版の時点で200話にものぼります。

初版から200話で出版されたわけではなく、少しずつ収録されているお話が増えてきています。

以下、収録話数の変遷です。

  • 初版: 第1巻 86話、第2巻 70話
  • 第2版:161話 付録:「子供の聖者伝」9話
  • 第3版:168話 付録:「子供の聖者伝」9話
  • 第4版:178話 付録:「子供の聖者伝」9話
  • 第5版:194話 付録:「子供の聖者伝」9話
  • 第6版:200話 付録:「子供の聖者伝」10話
  • 第7版:200話 付録:「子供の聖者伝」10話

初版は、1812年に第1巻が出版され、1815年に第2巻が出版されています。そのため、1巻は1~86話、2巻になってあらためて1~70話という計算です。

第2版からは、1巻と2巻がまとまり、話に通し番号が付けられました。

付録でついている「子供の聖者伝」というのは、グリム童話とは少し別物の物語です。

グリム童話のカテゴリーには加えられなかったが、別物としてグリム童話の一部となっています。

この「子供の聖者伝」を加えると、現在の「グリム童話集」に収録されるお話は合計で210話になるという計算です(しかし、たいていの場合、グリム童話って何話あるのかと聞かれたら、200話+10話と答える場合が多いと思います)。

200話それぞれの童話には、「KHM」といわれる童話のナンバーを示す記号が添えられています。

KHMとは、ドイツ語版の正式名称 “Kinder- und Hausmärchen” の頭文字を取ったものです。

たとえば、収録第1話の『かえるの王様』であれば、「KHM001 かえるの王様」といった具合ですね。

これにより、どのお話が何話目のものなのか、すぐわかるようになっています。

残酷で怖いグリム童話

先ほども書いたように、グリム童話はよく「残酷だ」と言われます。読んでみればわかりますが、その通り、残酷です。

改変された最終版のお話であっても、やっぱりその残酷さは消えていません。多少、描写がやわらかくなった、というだけです。

ディズニー映画や絵本でしかグリム童話の話を知らない人からすれば、原作を読んだらあっと驚くことでしょう。

「そんな話が童話でいいのかよ!」というツッコミをきっとしたくなると思います。

しかも、ドイツ語で「童話」に値する言葉は「メルヘン」(メルヒェン “märchen”)です。

メルヘンチックなんて言葉が昔流行ったように、メルヘンと聞いたら、きっとあのフワフワした可愛い感じ(?)を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

しかし、実はこの「メルヘン」という言葉に落とし穴があります。

この記事の序盤でもチラっと書きましたが、メルヘンとはそもそもそんな可愛らしいものを指す言葉ではなく、れっきとした文学ジャンルの1つとなっています。

その定義はけっこうあいまいな部分も多いようですが、広くは「民話」を指すようです。

メルヘンについての議論はけっこう多く、グリム兄弟が確立した「メルヘン=子ども向け」というイメージに嫌悪感を抱く学者もいたようです。

学者さんたちからすれば、「メルヘンはもっと奥が深いんだ!」とか「メルヘンじゃなくてメルヒェンだ!」とか怒られそうなので、メルヘンの説明はここまでにしておきましょう。

つまり何が言いたいかというと、そもそも「メルヘンというものが残酷じゃない」なんて一言もいってないということです。

もっと言えば、「童話」だと言っているのは、あくまで日本語訳した日本人です。

この言葉から勝手にフワフワした可愛らしいお話を想像してしまうのかもしれません。

初版を編集した当時のグリム兄弟からすれば、「子ども向けの可愛い話を集めたわけじゃないんだから残酷で当然だろう」って感じなのかもしれませんね。

「本当は怖いグリム童話」と言われるグリム童話ですが、日本で「童話=子ども向け」のイメージが強すぎたため、グリム童話の残酷性が隠れてしまったわけです。

実際、グリム童話の描写はかなり残酷なので、気になる人はぜひその世界を堪能してみてください。

こちらに、「本当は怖いグリム童話」を楽しんでいただける記事を作っています。

⇒本当は怖いグリム童話の一覧

グリム童話から得られる教訓

もちろん、グリム童話はただ残酷な話というわけではありません。お話を読んだ読者が、得られる教訓がたくさんあります。

なにせ、200年以上も世界で読み継がれていて、モチーフとしても多くの場面で活用されている有名な童話集です。

それだけ、グリム童話から受け取れるものも多いということでしょう。

グリム童話はよく「教訓話」として語られることが多いです。

子どもに向けての童話集となったグリム童話には、世の中の残酷さ、人生の生き方などの教訓が詰め込まれています。

もちろん、大人でも学べることはたくさんありますし、むしろ、大人こそ読むべきだという人もいるくらいです。

たとえば、有名な『シンデレラ』には、

  • 弱いものいじめをすれば、後から自分にかえってくる?
  • 人生つらい時期もあるが、苦悩を乗り越えた先にチャンスがある?
  • 時には人に助けを求めることも必要だ?

なんて教訓が考えられるかもしれません。

読んだ人によって、読み取れる教訓もぜんぜん違ってきます。

ぜひ、あなたもたくさんのグリム童話作品を読んで、あなたなりの教訓を見つけてみてください。

まとめ

グリム童話とはどんな童話なのかについて、簡単に紹介させていただきました。

「グリム童話」とは、グリム兄弟がいろいろな人から話を聞いて、まとめた童話集のことです。

残酷であり、さまざまな教訓が得られるお話がつまっています。

そんな有名なグリム童話の世界観に、あなたもぜひ浸ってみてください。

グリム童話全話を読破するくらいの勢いで、グリム童話に親しみ、グリム童話を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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