もの知り博士(原題:Doktor Allwissend)
グリム童話、『もの知り博士』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。 結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
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むかしあるところに、クレープス(えび)という名の貧しいお百姓がいた。
お百姓がある博士の家でたき木を売ったとき、博士がとてもおいしそうなものを飲んだり食べたりしているのが目に入る。
自分もおいしいものが食べたいという気もちから、博士になりたいという考えが百姓に浮かび、どうしたら博士になれるのかと百姓はたずねた。
博士は百姓に、前のほうにおんどりの絵があるABCの本を買うこと、自分の荷車と雄牛を売って服や医者の稼業にかかせないものを買うこと、「われはもの知り博士なり」という看板を玄関に止めておくこと、という3つを教えた。
お百姓は博士にいわれた通りのことをした。
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あるとき金を盗まれた金持ちの殿さまがもの知り博士のことを耳にして、助けてくれるかもしれないとその博士をたずねる。
殿さまは博士にいっしょに家に来て金を取り返すのを手伝ってもらえるようたのみ、博士はおかみさんを連れていく許可をもらう。
殿さまの屋敷で博士はまず食事をすることになり、最初の召使いが料理を運んでくると、博士はおかみさんに「これが1番めのだよ」という。
博士は「これが1番めのごちそうを運ぶ人だ」という意味でいったのだが、召使いは実は泥棒であり、「これが1番めの泥棒だ」という意味で受けとった。
召使いはとてもこわくなり、外の仲間に博士が何もかも知っているのだということを告げる。
つぎに2番めと3番めの泥棒召使いも同じ目にあった。
そして、4番めの召使いがふたをした皿を持っていくと、殿さまが博士の腕前を試すために「中には何が入っていると思うか」と問いかける。
答えは「えび(クレープス)」だったが、お百姓はまったく見当がつかずに「クレープス(えび)もあわれなものだ」というので、殿さまは博士の腕前を信じた。
召使いはとても怖くなり、博士を外へ呼び出して自分たちが泥棒であったことを白状し、それを殿さまに秘密にしておいてもらえれば金は返して博士にもお礼をすると話した。
博士は金のかくしている場所を知らされ納得し、殿さまのところへもどって、金のある場所をさがすといいABCの本を開いた。
5番めの召使いは、だんろのなかに隠れて博士が他に何を知っているのか聞いてやろうとしていた。
博士は本のページを開いておんどりを探したが見つからないので、「なかにいるのはわかっているのだから、さっさと出てこい」という。
だんろのなかの召使いは自分のことだと思い、怖がって外にとびだした。
もの知り博士は殿さまに金のありかを教えたが盗んだ人のことはいわなかったので、両方からお礼をたくさんもらって名高い人になった。