ヒルデブラントおじい(原題:Der alte Hildebrand)
グリム童話、『ヒルデブラントおじい』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。 結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
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むかしあるところにヒルデブラントというお百姓とそのおかみさんがおり、村の牧師はおかみさんのことが好きだった。
牧師はなんとかしておかみさんと1日じゅうふたりきりで過ごしたいと思い、またおかみさんもそう思っていた。
あるとき牧師は、その方法を思いつきおかみさんに話した。
まず、おかみさんに水曜日に病気になったふりをして日曜日までそのままにしているようにいう。
そして牧師が、病気の家族がいるものはイタリアのゲッケルリ山へ巡礼して1クロイツァーで月桂樹の葉をもらえば、病気の者は元気になると教会で説教をするという計画だった。
おかみさんはいわれた通りに病気のふりをし、うまくやってお百姓に教会の説教を聞きにいかせる。
牧師が予定しておいた話を聞いた百姓はよろこんで牧師から1クロイツァーを受けとり、家にいったん帰り、すぐにイタリアまで巡礼にいくとおかみさんに告げた。
お百姓が出ていくとすぐにおかみさんは元気に起きあがり、牧師はすぐにやってきた。
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お百姓は早足で歩いていると、卵売りのいとこと会う。
お百姓は牧師から聞いたことをいとこに話して、自分は今まさにその巡礼に行くのだと話す。
いとこは、その話は牧師がおかみさんと過ごすために計画したまったくのうそだという。
そしてそれを確かめるために、いとこはお百姓を卵のかごの中に入れておかみさんの家に行く。
そこではおかみさんがあらゆる食事をこしらえ、牧師はバイオリンを弾いて楽しく過ごしていた。
いとこは戸口を叩いて、卵が売れ残ってしまい、かごが重くて帰れないので1晩泊めてもらえるようお願いする。
おかみさんは仕方なくいとこを家に入れて、ストーブのとなりに座らせた。
やがて牧師がおかみさんに歌をうたうようにせがんだので、おかみさんは「亭主をイタリアのゲッケルリ山に送った」とうたい、牧師は「あいつは1年留守なのだ」と続けた。
するとうしろにいとこが、「いとしいヒルデブラントはストーブのベンチで何をしてる」とうたい、お百姓は「そんな歌にはがまんならないからかごから出なければならない」とうたう。
そしてお百姓はかごから出て、牧師をなぐり家から追いだした。