がちょう番の女(原題:Die Gänsemagd)
グリム童話、『がちょう番の女』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。 結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
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むかしあるところに年取ったお后と美しい娘が住んでいて、娘が大きくなると、遠くの国の王子と結婚することになった。
お后は旅立つ娘にりっぱな嫁入り道具を持たせ、侍女をひとりつけて、旅のための馬を1頭ずつあたえたが、娘の乗る馬はファラダといって人のことばを話す馬であった。
そして自分の指を切って血を流し、白い布に3滴しみこませて娘にあたえ、途中で入り用になるから大事にとっておくようにという。
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王女は母と悲しみの別れをして旅立ち、馬でしばらく進むと、とてものどがかわいてきた。
母が持たせてくれたさかずきに水をくんでくるよう侍女にたのむが、侍女はそれにしたがわない。
王女は自分で小川に行き、情けないと言いながら水を飲むと、「これがお母さまに知られたら胸がはりさけるでしょう」と3滴の血が話しかけてくる。
また数マイル進むと、暑くなってきたため侍女に水をくんでくるよう頼むが、侍女はやはりしたがわない。
王女は泣きながら自分で水を飲みにいき、3滴の血もまた、お母さまに知られたら、と答えた。
そのとき、3滴の血が染みこんだ布が落ちて水に流されたが、王女は悲しんでいて気づかなかった。
王女はそれをなくすと力がなくなり弱くなってしまうので、侍女はそれを見ていて、これで自分の思い通りにできるとよろこんだ。
王女が馬のファラダに乗ろうとすると、侍女が自分の馬と取りかえてしまい、王女の服を脱がせて自分の粗末な服を着せ、このことを王さまに言わないよう口止めした。
ファラダはこれを全部見ていて、心にとめていた。
2人は宮廷へたどり着くと、王子は侍女のことを自分の花嫁だと思って連れていき、本物の王女は下に取り残された。
王さまは残された娘が品よく美しいのを見て、王子の花嫁にあれはだれなのかとたずねた。
にせの花嫁は彼女が女中であると答え、仕事をあたえてくれるよう王さまにたのむ。
そこで王さまは、その娘にがちょうの番をしているキュルトヒェンという男の子の手伝いをさせることにした。
にせの花嫁は、馬のファラダが口をきいて自分の悪さをしゃべることを恐れ、王子にその馬の首をはねさせることをお願いした。
そのたくらみがうまくいってファラダの首がはねられることになる。
かわいそうな王女がそれを聞いて、首をはねる家来のところへ行き、いつも通る門の下にファラダの首をくぎで打ちつけてもらえるようたのむ。
いつもファラダに会えるようにしたかったのだ。
朝早く、王女はキュルトヒェンといっしょにがちょうを追って門の下を通ると、はねられたファラダの首を見て話しかける。
すると馬の首がしゃべりだし、「こんなことがお母さまに知れたら胸がはりさけるでしょう」といった。
王女とキュルトヒェンはがちょうを追って草原までやってくる。
王女は腰をおろして髪をほどくと、その髪はきれいな本物の金でできていたため、キュルトヒェンは2、3本引き抜こうとする。
すると王女は、「わたしが髪をもう一度結いあげるまでキュルトヒェンの帽子をふきとばして追いかけさせろ」ということを歌った。
歌のとおり、キュルトヒェンはしばらく帽子を追いかけなくてはならなかったので、キュルトヒェンは怒って王女と口をきかなくなった。
次の日も、まったく同じことの繰りかえしだった。
キュルトヒェンはその晩、王女とがちょうの番はしたくないと王さまにうったえた。
王さまは、その娘がどんなことをしたのかを聞きだす。
次の朝、王さまは王女とキュルトヒェンのあとを追って、王女がファラダの首と話したり、キュルトヒェンの帽子を吹き飛ばすように歌をうたっていることを自分で確かめた。
日が暮れてから、王さまは王女を呼んでなぜあのようなことをしたのかとたずねると、王女は「何もいわないと誓ってしまった」といって何も話さなかった。
なら鉄のストーブに心の苦しみをうったえるようにと王さまは話し、王女はストーブにはいりこんで泣きさけびながら、自分が王女であるのに情けないと語った。
王さまは外でストーブのえんとつに耳をつけて王女の言ったことを全部聞いていた。
そのため、娘をストーブから出して王家の服を着せ、王子にこれが本当の花嫁だと話す。
王子は本当の花嫁が美しいのでとてもよろこび、大宴会が催された。
侍女は王女の身につけているかざりに目がくらんで、だれなのかがわからなかった。
宴会のあいだ、王さまが侍女に、「こんなやりかたで主人をだました女にどんなひどい目にあわせればいいのか」という問題を出す。
すると侍女は、「着ているものを脱がせてとがったくぎが内側についた樽につめ、2頭の馬に引かせて死ぬまでひきずりまわさねばなりません」と答えた。
そこで王さまは、そのとおりの判決を侍女にくだした。
王子は本当の花嫁と結婚し、2人は仲良く幸せに暮らした。