なでしこ(原題:Die Nelke)
グリム童話、『なでしこ』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。 結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
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むかしお妃には子どもがおらず、子どもが授かるように神さまに日々お祈りをしていると、あるとき天使があらわれ、願いがなんでもかなう息子を授けることを約束した。
天使のいった通りお妃は男の子を産み、毎朝息子を連れて動物のたくさんいる庭園の泉で水浴びをした。
男の子が大きくなったある日、お妃は男の子をひざに横にならせたまま自分も寝込んでしまう。
すると年をとったコックがあらわれるが、コックは男の子に願かけの力があることを知っていたので、その子をうばい、にわとりを殺してその血をお妃のエプロンにたらした。
そして男の子をかくした後、その男の子はけだものにうばわれてしまったことにして、お妃をうったえた。
王さまは怒ってお妃を高い塔の中へ7年間飲みものも食べものも与えずに閉じこめることにする。
しかし、神さまが天使を白いハトの姿で送り、食べものを1日2回運んだ。
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コックは男の子の力を恐れて、城を出て男の子をかくした場所に行くと、男の子はすっかり成長していた。
コックは男の子にお城を願わせると、とたんに男の子の願ったお城があらわれ、そしてひとりにならないように美しい乙女も願わせると、すぐにとても美しい乙女があらわれた。
男の子と、その美しい女の子は愛しあうようになったが、コックはやがて男の子が父親のところへ行きたいと願うのを恐れ、女の子を呼んで、男の子の胸を突き刺して心臓と舌を持ってくるよう言いつける。
女の子はおどされていたが、かわりにシカを殺させて心臓と舌を皿にのせ、男の子にふとんの中に隠れるようにいう。
やがてコックが入ってきて、心臓と舌ののった皿を手にした瞬間、男の子がふとんの中から出てきてコックを、火を吐く黒い犬に変える。
そして、王子は母親のことを思って城に帰る決意をし、不安そうにしている女の子をきれいななでしこに変えて、ポケットに入れた。
そして黒い犬も無理やり連れて国へ戻り、王子は母親の閉じ込められている塔をのぼって母親をみつけ、かならず救いだすと約束して、父親のもとへ行く。
王子は猟師をなのって王さまにやとってもらえるように頼み、王さまは猟師がこのけもののいない国でけものを捕まえてこれれば、という条件を出す。
王子は自分の願いの力を使って200以上のけものを出し、それを撃ちとって王さまに運ぶと、王さまはたいそうよろこび、次の日家来一同をよんで大宴会をすることに決める。
そして、大宴会で王さまは猟師がとなりに座ることを命じ、猟師のふりをしている王子は母親のことを思い、誰かがお妃はどうしているのか、とたずねることを願う。
するとすぐに式部長官が口を開いて、お妃は生きておいでか、死んでしまわれたか、とたずねる。
王さまは、お妃は大事な息子を野のけだものにひきさかせたのだ、とこたえると、猟師が立ちあがり、自分が王さまの息子であり、お妃はまだ生きていて、本当に悪いのはコックである、ということを話す。
そして、黒い犬をもとのコックの姿にもどしたので、王さまはコックを深い地下の牢屋に送った。
そして、王子は自分の命の恩人である女の子もなでしこからもとの姿にもどし、そこでお妃も塔から連れてこられた。
しかしお妃は食べようとせず、その後3日生きたあと息を引きとり、天国の天使がハトの姿でお妃を連れていった。
王さまはコックを四つざきの刑に処したが、悲しみのあまりじきに亡くなり、王子はなでしこになっていた美しい乙女と結婚した。