グリム童話『名づけ親さん』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
『名づけ親さん』のあらすじ
あるまずしい男にはたくさんの子どもがいて、世界中のみんなに名づけ親になってほしいとたのんでいた。
さらに1人子どもが生まれて、もう名づけ親をたのめる人は残っていなかったので、男はとほうに暮れる。
男はその晩に夢をみた。
その夢は、町の門へ行き、そこで最初にであった人に名づけ親を頼むとよい、というものだった。
男はその夢のとおりにしようと思い、家を出て町の門へ行き、そこで最初にであった人に名づけ親をたのむ。
その見知らぬ男は、まずしい男に水の入った小さいグラスを贈った。
その水は病人を元気にすることができるが、それには死神がどこにいるかを見つけなくてはならない。
病人の頭のところにいるときは水をあたえれば助かるが、足もとにいるときはその病人は死ぬしかない、ということだった。
このようにして、男は病人が助かるかどうかを見分けられるようになり、その技で有名になって、お金持ちとなった。
ある日、男は王さまに呼ばれ、病気の子どもをみてほしいと言われる。
死神は頭のところにいたため、男は例の水で子どもをなおす。
これが2回つづいたのだが、3回目にみたときには死神が足もとに立っていて、子どもは死ななければならなかった。
男は名づけ親のところへ行き、その水が役立ったことを話そうと思った。
男が家に入ると、まず最初の階段で、シャベルとほうきがけんかをしていた。
「名づけ親さんはどこに住んでいるのか」と男がたずねると、「階段をひとつ上がったところだ」とほうきがこたえる。
男が2番目の階段をのぼると、たくさんの死人の指があった。
「名づけ親さんはどこに住んでいるのか」と男がたずねると、「階段もう1つ上がったところだ」と指の1つがこたえる。
3番目の階段の上には死人の首がたくさんあり、それらは、名づけ親はもう1つ階段を上がったところにいるという。
4番目の階段の上では、魚たちがフライパンの中で自分自身を焼いていた。
魚たちは、名づけ親はもう1つ階段を上がったところだという。
そして5番目の階段をのぼると1つの部屋があり、男はカギ穴をのぞくと、そこに2本の長い角を生やした名づけ親がいるのをみる。
中に入ると、名づけ親はベッドに身をかくした。
1番下でシャベルとほうきがけんかをしていたことを男が話すと、名づけ親は、それは下男と女中だと言う。
さらに2番目の階段にあった死人の指は西洋ゴボウと言い、3番目の階段の死人の首はキャベツの玉だと言った。
4番目の階段では魚が自分自身を焼いていて、5番目の階段で長い角を生やした名づけ親が見えたと男が話すと、そんなことあるものかと、名づけ親はごまかした。
男はおそろしくなり、その場から走って逃げだした。
『名づけ親さん』の教訓・感想など一言コメント
死神がしっかり登場するお話。
死神のおかげで、主人公の男は人が命を取りとめるかどうかがわかるようになります。
ただ結局のところ、役に立った死神は、実は悪魔だったというオチ。
死神と悪魔の違いに注目して見てみると、おもしろい作品です。
某名前を書くノートのように、悪の力の借り過ぎはよくないということですね。
『名づけ親さん』の基本データ
収録ナンバー
KHM042
原作タイトル(ドイツ語)
Der Herr Gevatter
英語タイトル
The Godfather
日本語の別タイトル
特になし
収録版
初版から7版までずっと