今回は、2015年に公開された実写版の『シンデレラ』の見どころをご紹介します。
『シンデレラ』は、ご存知ディズニーアニメでも超有名な作品。
このアニメを見て、王子様との結婚にあこがれた女性は少なくないと思います。
そんな『シンデレラ』をディズニー自ら実写化するということで、かなり話題になった映画です。
この記事では、ディズニー実写版の『シンデレラ』はどんな作品になったのか、アニメ版との違いなどもふまえながら、10個の注目ポイントを見ていきたいと思います。
なお、ネタバレもあるので、まだ見ていない人は注意してくださいね。
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1. 実写版シンデレラはフランス語が堪能
まず描かれるのは、シンデレラの子ども時代。
冒頭では、子どものシンデレラがフランス語を練習しているのがわかります。
しっかりと教育を受けていることが見受けられるシーンです。
また、大人になってからも、フランス語を話してまま母をびっくりさせるシーンがあります。
子どもの頃の教育のおかげで、聡明な女性に育ったということでしょう。
劇中での時代や王国の設定は不明ですが、少なくとも言葉はイギリスアクセントの英語。
『不思議の国のアリス』が出たくらいの19世紀イギリスのように、フランス語を学べるのは裕福な家庭だったのです。
(そもそも『シンデレラ』の原作はフランスの童話なので、フランス語をしゃべってもおかしくはないわけですが……)
ちなみに、子ども時代から語られるシンデレラの本名は「エラ」。
物語が進むにつれて、まま母たちから「シンデレラ」と呼ばれるようになります。
cinder「灰」と、Ella「エラ」を組み合わせて、”Cinderella”。
「シンダー エラ」をつなげて言って、「シンデレラ」です。
2. 実写版シンデレラでは母親がしっかり見られる
これまでの物語では、話の冒頭から病気になっていたシンデレラのお母さん。
実写版では、そんな母親との暮らしがしっかり描かれています。
シンデレラの母親ってどんな感じだったんだろう、と気になっていた人にはおすすめの見どころです。
仲良く幸せに暮らしている様子や、父親がどれほど愛情を注いでいたかもしっかり見られます。
そんな子ども時代がしっかり描かれたあと、いよいよ母とのお別れ。
原作にもあるように、母からの言葉を強く心に刻みます。
「勇気と優しさを持つのよ」
引用:『シンデレラ』(2015)
(”Have courage and be kind.”)
アニメ版や原作ともちがう母親の言葉にも、要注目です。
その後、父親が再婚し、まま母となるトレメイン夫人と、その娘2人であるアナスタシアとドリゼラがやってくることになります。
冒頭の家族シーンから一変し、シンデレラの辛い日々が始まるのです。
3. 実写版シンデレラの猫がアニメにそっくり
まま母が連れてくる「猫のルシファー」も忘れてはいけません。
アニメ版をご存知の方にはおなじみ、お風呂嫌いのルシファーですが、実写版がなかなかに似ていておもしろい!
ディズニーアニメでは、猫ルシファーと、シンデレラの友達である4匹のネズミのバトルがかなり描かれていました。
『トムとジェリー』かと思うほどの力の入れようです。
ですが、実写版のほうではルシファーの出番がほとんどありません。猫好きにはちょっと残念です。
出番はないものの、アニメ版で描かれた猫と見た目はそっくり。
むしろ、アニメ版を一番うまく実写化したのは、このルシファーかも?
ちなみに、アニメ版ではしゃべりまくっていたネズミたちも、実写版では言葉を発さなくなります。
実写版らしく、よりリアルな世界観になっています。
4. 実写版シンデレラの姉妹の言い合いがおもしろい
さて、忘れてはいけないアナスタシアとドリゼラの姉妹。
この2人、かなりライバル意識が強く、仲が良さそうに見えて、よく言い合っています。
特に、物語序盤で、2人が言い争っているシーンでのドリゼラのセリフ。
「目玉をえぐり出すわよ」
引用:『シンデレラ』(2015)
(”I could scratch your eyes out!”)
これはおもしろいですね。
実はグリム童話版の『シンデレラ(灰かぶり)』では、実際にハトに目玉をつつかれ、目玉をえぐり出されるのです。
ちょっとしたネタなのかもしれません。
しかしこの2人のキャラはなかなか強烈です……。
ちなみにドリゼラ役の女優は、ドラマ『ダウントン・アビー』で使用人デイジーを演じたソフィー・マクシェラ。
シンデレラ役のリリー・ジェームズも同ドラマで貴族側の人間を演じており、立場逆転のような役柄で再共演しています。
(『ダウントン・アビー』では、リリー・ジェームズは使用人をいじめたりするキャラではありませんでしたが。)
5. 実写版シンデレラと王子との出会いは森の中
2015年の実写版『シンデレラ』が原作やアニメ版と大きく違うのは、「王子との出会い」です。
まま母たちからひどい扱いを受け、うんざりしたシンデレラは、馬に乗って颯爽と森のほうへ行きます。
森の中では、シカ狩りを楽しんでいた王子がいました。
こうして、森の中での出会いが王子との初対面となります。
王子は「キット」と名乗り、自分の身分を隠します。
身分がわからない状態で恋に落ちるという、現代風なアレンジとなっていますね。
シンデレラが「シカを狩らないで」と必死にせがむのも、狩りの禁止が普通になった現代風アレンジなのでしょうか。
ちなみに、アニメ版の王子の名前は、ツムツムでもおなじみ「プリンス・チャーミング」でした。
「チャーミング」というチャーミングな名前は、実写版では却下されてしまったようです。
6. 実写版シンデレラの使用人の存在
シンデレラは一人寂しく孤立しているようなイメージですが、実写版では「使用人」が描かれます。
そう、もともとシンデレラはそこそこのお嬢様。
使用人がいるくらいの裕福な家庭だったわけです。
まま母がやってきても、しばらくは使用人がいて、「エラ」と呼んで気にかけてくれています。
が、途中で使用人たちはクビにされ、エラがシンデレラとなって、使用人の代わりをするわけです。
村で会ったときも、クビにされた使用人はシンデレラのことを気にかけてくれます。
シンデレラが愛されるキャラクターだったということは間違いないですね。
7. 実写版シンデレラのフェアリー・ゴッドマザーは若い?
さて、ディズニーの『シンデレラ』では最大の見せ場といっても過言ではない、フェアリー・ゴッドマザーのシーン。
ヘレナ・ボナム=カーター演じる実写版のフェアリーは、最初は物乞いの姿で登場。
何の疑いもなく食べ物を分け与えてくれるシンデレラに、魔法をかけてあげることとなります(グリム童話にはよくあるモチーフですね)。
そして魔法をかけるシーン。
物乞いの姿から本来の姿に戻ったフェアリー・ゴッドマザーが、意外と若い!
少なくとも、アニメのような老婆ではありません
演じるヘレナ・ボナム=カーターの公開当時の年齢は49歳。
でもパッと見は、20代くらいにも見えるフェアリーです。
そして、アニメでおなじみの呪文「ビビディ・バビディ・ブー」を唱えながら、
- かぼちゃを馬車に
- ネズミを馬に
- トカゲを従者に
- ガチョウを御者(運転手)に
変えていきます。
トカゲが出てくるあたりは、どちらかというとペローの原作に近いですね(⇒『ペロー童話集』)。
これらの変身シーンは、さすがディズニーといったところ。
実写版でも、美術担当のきらびやかな仕事っぷりが堪能できます。
8. 実写版シンデレラで明かされる「ガラスの靴」の秘密?
そして注目すべきは、やはり「ガラスの靴」でしょう。
アニメ版ではドレスと一緒にさらっと登場したガラスの靴だが、実写版では少し「ため」が入ります。
ドレスを変え、さあ行こうとなっているときに、「あっ、靴もやばいじゃん」的なノリで、ギリギリのところで靴に気づくのです。
そして一言、こんなセリフをはきます。
「靴の魔法は得意なのよ」
引用:『シンデレラ』(2015)
(”I’m rather good at shoes.”)
へえ、そうなんだーと最初は思うだけかもしれません。
が、このセリフ、なかなか奥が深いことに気づきます。
あなたは昔、ガラスの靴の存在を疑問に思ったことはなかったでしょうか?
12時で魔法が解けるのに、なぜガラスの靴は残っているのかと。
他のものはすべて消えてしまったのに、なぜガラスの靴だけ消えないのかと。
その答えは、「靴の魔法は得意だから」だったのです!(たぶん…!)
つまり靴だけは、真夜中を過ぎても平気だということ。
さりげない一言ながら、なるほどと思ってしまう場面です。
9. 実写版シンデレラのまま母がせつない?
実写版『シンデレラ』では、まま母にも要注目です。
なにせ、演じるのはケイト・ブランシェット。名女優ですね。
それまで、完全に悪者だとされてきたまま母。実写版『シンデレラ』ではほんの少しだけ、まま母の心の闇のような部分が垣間見えます。
ひとえにケイト・ブランシェットの演技力なのかもしれませんが、幸せになりきれなかったまま母の心情や、絶妙な表情が見てとれます。
人によっては、ちょっと同情してしまうかもしれませんね。
また一方で、実写版のまま母はなかなかの策略家です。
シンデレラが隠していた片方のガラスの靴を見つけ(最初から疑っていた)、それを破壊してしまいます。
そして、自ら宮殿まで出向き、王子につかえる大公(グラン・デューク)に取引を持ちかけるのです。
というか、半分はただの脅迫です。
こういうところは、やはり神経の図太いまま母です。
ちなみに、まま母と姉妹は、「悪だくみをした大公とともに二度と国に戻ることはなかった」という風に終わります。
アニメ版では描かれていなかった、まま母たちの最後ですね。
悪いことをした報いはしっかり受けたということでしょう。
10. 実写版シンデレラの謎の姫探しエンディング
もちろん、物語の最後はナゾの姫探し。
ガラスの靴に合う女性を、王国のお偉いさん方が探します。
村中のありとあらゆる女性に靴をはかせて、探し回っているようです(おばあさんまでもが立候補)。
というかこれ、そもそも仮に靴がピッタリ合ったとして、その女性はその後どうするつもりなんでしょう?
「私があのとき踊った姫ですよ」と、生涯言い続けるのでしょうか。
みんながみんな靴を履くだけで姫になろうだなんて、いったいこの村はどれだけの娘が嘘つき……いえ、野心たっぷりなのでしょう。
しかも、そんなナゾの姫探しに、家来を総動員して探し回っています。
よっぽどヒマ……いや、キット王子のことを考えてくれているのでしょうね。
グリム童話でも、まま母の娘2人がかかとを切り落としてまで、靴に足を入れようとしています。
さすがに王子だって、自分の好きになった女性の顔くらいわかるでしょうに……。
と、どうでもいいツッコミはおいておいて。
実写版ではその辺り、少しリアリティを出してくれています。
最後にシンデレラが出てきて靴をはくシーンでは、一目見ただけで王子がシンデレラのことに気づきます。
一応、ガラスの靴を試しはしますが、もはや形だけの儀式状態。
本当の愛に、ガラスの靴なんて必要ないのです…!
ちなみにアニメ版では、シンデレラは自ら「私です!」といって登場。
大公がはかせようとしたガラスの靴は、その場でまま母に割られてしまいます。
が、隠していたもう片方の靴を取り出し、見事にはいてみせて、めでたしめでたしとなります。
いずれにせよ、きれいなハッピーエンディングで終わるわけです。
まとめ
ということで今回はディズニーの実写版『シンデレラ』で、気になったポイントを紹介させていただきました。
人によって注目ポイントも変わってくると思います。
気になる人は、アニメ版やグリム童話版などとも比較しながら、また『シンデレラ』を楽しんでみてください!
あなたなりの「見どころ」が、きっと再発見できると思いますよ。