グリム童話『森の中の三人のこびと』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。
結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
『森の中の三人のこびと』のあらすじ
夫に先立たれて娘を一人持つ女が、妻に先立たれて同じく一人の娘を持つ男に結婚を申し出た。
女は自分の娘をひいきしており、自分の娘は水を飲み、水で身体を洗うと宣言。
一方、男の娘にはワインを飲ませ、ミルクで身体を洗わせてあげると言った。
男は自分の娘にブーツをわたし、それを水でいっぱいにして戻ってくるよう伝える。
その水があふれたら男は再婚し、あふれなければ再婚しないことにしていた。
その水はあふれることがなく、男は女と再婚した。
生活が始まると、初日は男の娘がワインを飲んでミルクで身体を洗い、女の娘には水しか与えられなかったが、3日目にはその立場が逆転した。
女(まま母)は、男の娘を嫌っていたのである。
このまま母は、ある冬の日、男の娘に森でイチゴを採ってくるよう伝える。
娘が森の中に入っていくと、そこで三人のこびとに出会った。
娘はこびとの家に入れてほしいと頼み、こびとは娘を受け入れてあげることになる。
こびとの家で、娘はまま母からもらった固いパンを食べた。
その様子を見ていたこびとたちは、そのパンが欲しいと言い、やさしい娘はパンを分け与えてあげた。
さらにこびとたちは、娘に掃除をするよう言うと、娘はしっかりと掃除を行った。
その間、娘の親切心にお礼をしようとした三人のこびとは、お礼の内容を考える。
一人目は、娘が日ごとにどんどん美しくなるようにすると言った。
二人目は、ひとことしゃべるごとに、金貨を口から落とすようにすると言った。
三人目は、王さまがやってきて、そのお妃にすると言った。
そして、娘はイチゴを手に入れることができ、うちに帰っていった。
このことを知ったまま母の娘は、自分も森の中へ行くと主張する。
まま母はしぶしぶ受け入れ、自分の娘を森へ行かせる。
まま母の娘は同じようにこびとたちに会うが、態度が悪かった。
そのせいで、こびとたちは罰を与えることにした。
一人目は、娘が日ごとにどんどん醜くなるようにすると言った。
二人目は、ひとことしゃべるごとに、ヒキガエルを口から飛び出すようにすると言った。
三人目は、娘がみじめな死をとげるようにすると言った。
これに腹を立てたまま母は、より糸を煮て、それを男の娘に渡し、川の氷を割ってゆすいでくるように言った。
娘がその通りにしていると、ある王さまがやってきて、声をかけた。
王さまは娘の美しさに惹かれ、連れて帰って自分のお妃にした。
一年もしないうちに、若いお妃は息子を生むことになった。
いじわるなまま母はお妃のもとを訪れ、自分の娘とともにお妃を窓から川の中へ投げ込んでしまう。
そして、自分の娘をお妃の代わりにしてしまうのだった。
あるとき、アヒルが一羽、城の中へやってきて、王さまやお妃の赤ん坊の様子を尋ねた。
料理番が、彼らは眠っていると言った。
これを聞くと、アヒルはお妃の姿に変身した。
お妃は赤ん坊にお乳を与えに行き、またアヒルの姿に戻った。
これを繰り返すこと三日目の夜、アヒルのお妃は料理番に頼んで、入り口で王さまに彼女の身体の上で、三度剣をふらせた。
これにより、お妃はもとの人間の形に戻った。
その後、王さまはまま母に、「人を水の中へ投げ込むような人間にはどんな罰がふさわしいか」を尋ねた。
まま母は、くぎの打ち付けてある樽に入れて、山から川の中へ転がすほかはないと答えた。
そして王さまは、まま母とその娘を、このとおりの方法で処刑するのだった。
『森の中の三人のこびと』の教訓・感想など一言コメント
互いにパートナーに先立たれてしまった男女が再婚する話。
「こびと」がタイトルに使われていて、可愛らしい童話かと思いきや、けっこう現実的な話です。
再婚した男女には互いに娘がいるため、おなじみの「まま母 vs 良い娘」の構図ができあがります。
良い娘のほうは王様と結婚できますが、まま母とその娘によって川へ投げ込まれてしまうなど、けっこうなサスペンスです。
こびとどころの騒ぎではない童話ですね。
再婚するときには、相手の素顔はもちろんのこと、自分の子どもと相手の子どもの相性にも気をつけたほうが良さそうです。
『森の中の三人のこびと』の基本データ
収録ナンバー
KHM013
原作タイトル(ドイツ語)
Die drei Männlein im Walde
英語タイトル
The Three Little Men in the Woods
日本語の別タイトル
- 「森の中の三人の小人」
など
収録版
初版から7版までずっとだが、2版から類話と混ざって話が少し変わっている