本当の花嫁(原題:Die wahre Braut)
グリム童話、『本当の花嫁』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。 結末までネタバレしていますので、ご了承ください。
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むかしある美しい娘がいじわるなまま母と暮らしていて、いつもたくさんはたらかされていじめられていた。
ある日、まま母は娘に、日暮れまでに12ポンドもある羽から綿毛をむしり取るという仕事をまかせる。
娘は自分ができそうもない仕事をやらされて泣きながら神さまにお祈りしていると、目の前におばあさんがあらわれる。
おばあさんは娘に安心して休んでいるようにいい、そのあいだにたのまれた仕事をいとも簡単にすませてしまう。
まま母は娘が仕事を終わらせていたので、もっとむずかしい仕事をさせようと、庭の池の水を穴のあいたスプーンで全部くみだすよういいつける。
娘が絶望していると、ふたたびおばあさんがあらわれて、その仕事をかたづけてくれる。
つぎにまま母は、近くの平地に中身も全部ととのった美しいお城を1日で建てるように娘にいいつける。
娘のもとにはやはりおばあさんがあらわれ、1日のうちに豪華なお城を中まで完璧につくりあげる。
まま母はできたお城に不足がないかくまなく調べ、最後に地下室へ降りていくときに、はね戸がじゃまをして階段から落ちて死んでしまう。
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城でひとりきりになった娘には何もかも満ちたりた生活が待っており、やがてその美しさゆえにたくさんの求婚者があらわれて、娘はその中のある王子と恋におちる。
ある日、王子は父親に結婚のゆるしをもらいに帰ってからすぐにもどってくるというと、娘は王子の左のほほにキスをして「自分のことを忘れないで」という。
しかしどれだけ待っていても王子はもどらなかったので、娘は心配になっていちばん美しい衣装を3つと宝石をひとつかみ持ち、王子を探しにでかける。
娘は世界じゅうで王子のゆくえをたずねるがだれも知る者はおらず、ついに見つけることができなかった。
娘はある農家にやとわれ、牛飼いとしてはたらくようになる。
数年たったある日、国の王女が結婚式をあげるといううわさが広まるが、娘が城へつづく道をわたる花婿をみるとそれはまちがいなくあの王子であった。
娘はとても心が傷つき、次の日に花婿が通るときには自分の子牛に「あなたは私のことを忘れないでね」と話しかける。
花婿はふと馬をとめて牛飼いの娘を見たが、だれだか思いだせないようであった。
じきに王さまの宮殿で結婚のお祝いの宴が3日開かれることになり、娘は最後の手段をためそうと牛飼いの服を脱ぎ、持ってきた美しい衣装のひとつを身につけて宴に出かける。
王子は娘の美しさにうっとりして、もうひとりの花嫁のことは気にせずに娘とダンスをおどりつづける。
こうして2日めと3日めも娘はちがう衣装を着て出かけて王子とおどり、最後の日に王子は娘に「あなたはいったいだれなのか」とたずねる。
娘は最後に別れたときに自分がなにをしたか覚えてないのかとたずね、王子の左のほおにキスをする。
とたんに王子はすべてを思いだして、その娘が本当の花嫁であることをさとる。
王子は娘と手をとって宴から逃げだし娘の城まで急ぐと、中ではすでに婚礼のしたくがととのっており、2人を結婚させるための司祭が待っていた。