KHM163 『ガラスの棺』のあらすじ

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ガラスの棺(原題:Der gläserne Sarg)

 

グリム童話、『ガラスの棺』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。 結末までネタバレしていますので、ご了承ください。

 

* * * * * * * *

 

感じのよくて若い仕立て屋が遍歴の旅に出て、大きな森で迷ってしまうと、そこで小さな家を見つける。

その家をたずねるとひとりの年よりの小人が住んでいて、はじめは不機嫌そうだったが、仕立て屋がたのみこんだので小人は親切に泊めてやる。

朝になると仕立て屋はさわぎ声で目を覚まし、外を見ると雄牛と鹿が戦っていた。

鹿が雄牛の腹に角をつき刺してとどめをさし、戦いは鹿の勝利に終わる。

仕立て屋がびっくりして眺めていると、鹿がとつぜん仕立て屋を救いあげ、全速力で山や谷を越えていく。

やがて鹿は仕立て屋を岩壁のまえでおろし、しばらくすると岩についた戸にむかって力いっぱい角をつきたてる。

すると戸が開き、なかから炎と煙が立ちこめて鹿の姿は見えなくなる。

 

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仕立て屋は岩のなかから中に入ってくるようにという声をきいたのでその通りにし、戸を通りぬけて広い大広間に入っていく。

するとふたたび声がして、広場のまん中の石をふんづけるようにというので、仕立て屋はいいつけにしたがうと石はゆっくりと下へしずんでいく。

そこもまた大広間で、壁のくぼみに置かれたガラスの入れもののなかに青みがかった煙がつまっていた。

広間の床にはふたつの大きなガラス箱があり、一方には城のような建物が入っていて、もう一方にはとても美しい娘が入っていた。

その娘は眠っているようだったが、仕立て屋が見とれていると突然目を覚まし、とてもうれしそうになった。

娘は仕立て屋がガラスのかんぬきを開ければ、自分は救われるといったので、仕立て屋はその通りにする。

娘は外に出ると仕立て屋を呼びよせ、これで自分は救われて仕立て屋と結婚する決まりになっているといい、自分がここに閉じこめられることになった経緯を話しはじめる。

 

 

その乙女は裕福な伯爵の娘で、両親を小さいころに亡くしており、心から愛しあっていた兄とふたりで城に住んでいた。

ふたりはお客をむかえるのが好きだったが、ある晩見知らぬ男が泊めてほしいといってきたので丁重にもてなす。

夜になり娘は疲れて眠ろうとするとこころよい音楽に起こされ、それがどこから流れてくるかわからないので侍女を呼ぼうとするが声が出なかった。

そのうちに見知らぬ男が錠をしてある娘の部屋に魔法を使って入ってきて、自分は結婚を申しこむために来たという。

娘はその魔法がとてもいやで返事をせずにいると、男は怒って仕返しをするといい出ていく。

明けがたになって兄を探すといなくなっており、悪い予感がしたのですぐに着がえて森へ行くと、その見知らぬ男が鹿をつれているのを見つける。

その鹿からは涙が流れており、娘は腹を立ててピストルを男に向けて発射するが、弾がはねかえって娘の馬に当たり娘は意識をなくしてしまう。

 

 

意識をとりもどすと娘は地下の墓穴でガラスのひつぎにいれられていた。

そこにあの男があらわれて、兄は鹿に変え、城は小さくしてべつのガラスの箱に閉じ込め、家来たちは煙に変えてガラスのびんに封じこめたと話す。

娘が自分の望みにしたがうのなら、何もかも戻してやると男はいうが、娘は返事をしなかったのでそのまま牢獄に置きざりにされて深い眠りに落ちる。

娘は夢のなかで、若い男の人が自分を救いだしてくれるということをさとる。

 

 

娘は自分の夢が本当になったことをよろこび、仕立て屋とふたりで城の入ったガラスの箱を石の上へのせる。

石が上の広間へ上がり、娘がそこでガラスの箱のふたを開けると、たいへんな速さで城がのびひろがっていった。

煙のつまったびんも上の広間に運び、そのふたをあけてやると中から家来たちが人間の姿に戻ってあらわれる。

やがて兄が雄牛のすがたに変わっていたあの男を殺して、人間のすがたで戻ってきたので、娘はたいへんよろこび、その日のうちに仕立て屋と結婚式をあげた。

 

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