グリム童話とは

あなたも一度は聞いたことがあるだろう、『グリム童話』

 

ドイツで出版された、世界で一番読まれているといわれる童話集だ。

 

その正式名称は『子供と家庭のための童話集』という。ドイツ語での原題は『Kinder- und Hausmärchen』、英語では『Children’s and Household Tales』だ。

 

しかし、あなたは「グリム童話ってなに?」と子どもから聞かれたとして、きちんと説明してやれるだろうか?

グリム童話とはそもそもどんな童話なのか?

 

今回はその全貌にせまってみようと思う。
 

 

グリムさんが作った童話ではない!?

そもそもグリム童話は、グリムという人が作った童話ではない。

 

グリムという苗字を持つ兄弟たちが、編集した童話集のことである。

 

作ったのではなく、編集しただけだ。

 

つまり、グリム童話と言っておきながら、グリムさんが作った物語は一切ない。

すべて、どこかの誰かさんに聞いた話だとか、地方の民話(だいたいはドイツ国内)を集めたものにすぎない。

しかし、その集めて編集するという行為が、とんでもなく大変なゆえ、その功績を高く評価されているのである。

 

お話の中には、もともと違う有名作家が書いていた作品を改変した、というものも存在する。

フランスのシャルル・ペローという詩人なんかは、よく比較をされる。

 

とにかく、グリム兄弟自身が作家だったわけではない。(グリム兄弟についてはこちらの記事を参照)

あくまで、「グリム兄弟が集めた、童話集」ということなのである。

 

初版から200年以上

グリム童話がドイツで初めて出版されたのは1812年のクリスマス直前。もう200年以上も前のことになる。

日本に初めて紹介されたのは、1887年(明治20年)だと言われている。

 

初版が世に出た当時は、決して「童話」などと呼べるかわいらしいお話ではなかった。

あなたもご存知であろう、いわゆる「怖いグリム童話」である。

その残酷さゆえ、グリム兄弟が亡くなる直前の1858年までに、7度の改変を経ている。「こんなもの子どもに読ませられるかーっ!」っていうほどの、残酷さだったわけだ。

 

現在われわれが日常で目にするグリム童話は、この1858年に出版された第7版であることが多い。

まあ結局のところ、現在残っている最終版のグリム童話集も、そこそこに残酷さは残っている。いや、けっこう残酷だ。

 

収録話数は200話プラスアルファ

グリム童話の中に収録されているお話は、最終版の時点で200話にものぼる。最終版の時点でというのは、初版のときから少しずつお話が増えたり、減ったりしているからである。

以下、収録話数の変遷である。

初版(1812年-1815年) – 156篇(第1巻86篇、第2巻70篇)
第2版(1819年) – 161篇(第1巻86篇、第2巻75篇)付:「子供の聖者伝」9篇
第3版(1837年) – 168篇(第1巻86篇、第2巻82篇)付:「子供の聖者伝」9篇
第4版(1840年) – 178篇(第1巻86篇、第2巻92篇)付:「子供の聖者伝」9篇
第5版(1843年) – 194篇(第1巻86篇、第2巻98篇)付:「子供の聖者伝」9篇
第6版(1850年) – 200篇(第1巻86篇、第2巻114篇)付:「子供の聖者伝」10篇
第7版(1857年) – 200篇(第1巻86篇、第2巻114篇)付:「子供の聖者伝」10篇

(Wikipediaより)

 

ここにある、付録でついている「子供の聖者伝」というのが、プラスアルファの部分だ。グリム童話のカテゴリーには加えられなかったが、別物としてグリム童話の一部となっている。

この「子供の聖者伝」を加えると、合計で210話になるという計算だ。

だが、たいていの場合、グリム童話って何話あるのかと問われたら、200話+10話と答える場合が多い。

 

それぞれのお話には、KHMといわれる童話のナンバーを示す記号が添えられている。KHMとは、ドイツ語版の正式名称 Kinder- und Hausmärchen の頭文字を取ったものである。

たとえば、収録第1話の『かえるの王様』であれば、「KHM001 かえるの王様」といった具合だ。

これにより、どのお話が何話目のものなのか、すぐわかるようになっている。

 

残酷な童話?メルヘン?

先ほどもちらっと書いたが、グリム童話はよく「残酷だ」と言われる。読んでみればわかるが、その通りである。改変された最終版のお話であっても、やっぱりその残酷さは消えていない。多少、描写がやわらかくなった、というだけである。

「そんな話が童話でいいのかよ!」というツッコミをきっとしたくなるだろう。

しかも、ドイツ語でこの童話に値する言葉は「メルヘン」(メルヒェン Märchen)である。メルヘンチックとかってもう古い言葉かもしれないが、それでもメルヘンと聞いたら、ふつうはあのフワフワした可愛い感じ(?)を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。

 

しかし、実はこのメルヘンという言葉に落とし穴がある。

 

メルヘンとは、そもそもそんな可愛らしいものを指す言葉ではなく、れっきとした文学ジャンルの一つなのだ。その定義はけっこうあいまいな部分も多いようだが、広くは「民話」を指すらしい。学者さんたちからすれば、「そんな簡単に言うな!メルヘンはもっと奥が深いんだ!」と怒られそうなので、メルヘンの説明はここまでにしておこう。

 

つまり何が言いたいかというと、そもそも「メルヘンというものが残酷じゃない」なんて一言もいってないということだ。

 

もっといえば、「童話」とうたっているのはあくまで日本人であり、この言葉から勝手にフワフワした可愛らしいお話を想像してしまうのかもしれない。グリム兄弟からすれば、子どもたちに戒めを与えるための物語なんだから、残酷に決まってるだろ、って感じかもしれない。

すばらしい教訓話

といっても、やはり200年以上も世界で読み継がれているというのは、それだけすばらしいということである。

グリム童話はただ残酷で終わらせる物語ではない。子どもに読ませ、世の中の残酷さ、人生の生き方などの教訓を教えるための物語である。

グリム童話からは、大人でも学べることがたくさんある。

ぜひ、あなたもグリム童話全話を読破するくらいの勢いで、グリム童話に親しみ、あなたなりの人生訓を見つけていってほしい。

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