KHM031 『手なしむすめ』のあらすじ

手なしむすめ(原題:Das Mädchen ohne Hände)

 

グリム童話、『手なしむすめ』のあらすじです。

 

* * * * * * * *

 

1人の粉ひきの男はどんどんまずしくなって、持ち物は水車とその裏の1本のリンゴの木だけになってしまった。

あるとき、たきぎを取りに森に入ると、見知らぬ老人がきて、水車小屋の裏にあるものをくれるなら金もちにしてやると、男にいった。

男はその約束をし、老人は3年たったらその約束のものを取りにくるといい、去っていった。

家に帰ると妻はとつぜん金のはいった箱が家中にあると男にいい、男はその老人との約束の話をすると、妻は、それは悪魔で、その裏にあるものというのはリンゴの木でなく、そのとき裏を掃除していた自分たちの娘のことだといった。

その娘は美しく信心深くて、3年間罪を犯さず過ごした。

 

 

3年がたち、悪魔は娘を引きとりにくるが、娘は体を洗っていて悪魔は近づけず、父親に娘が体を洗えないようにしろと言いつけた。

しかし、娘は両手を顔にあてて泣き、その涙で両手は清められたので、悪魔はふたたび近づけず、今度は娘の両手を切りとれ、さもなければ父親の両手を切りおとすと父親をおどした。

父親はおびえて、抵抗しなかった娘の両手を切りおとした。

悪魔が3度めに娘を引きとりにくると、娘は涙で手のない両腕をぬらしていたので悪魔は近づけず、引きさがるほかはなかった。

娘はもうこの家にはいられないと思い、家を出ていった。

 

Sponsored Links

 

一日中歩き、夜になって、ある王さまの庭に来ると、そこには実がたくさんなっていたが、まわりに水をはったほりがあったので近づけなかった。

娘は飢えていて、実を少しでも食べられればと神さまに祈ると、天使があらわれ、ほりの水門を閉めて娘がそこを通れるようにした。

庭にはいった娘は天使の見守るなか、ナシの実を1つだけ口でかぶりつき食べ、そのまま茂みに姿をかくしたが、庭師がその様子を見ていて、娘のことを手のない幽霊だと思ってしまった。

 

 

翌朝、王さまが庭にきて、ナシが1つなくなっていることに気づき庭師にたずねると、庭師は自分が見たことをすべて話した。

王さまはその幽霊が本当なのか、今夜じきにたしかめることにして、司祭も連れて3人で見はりをした。

そして、ふたたび娘があらわれナシの実を食べていたので、司祭が幽霊なのかと話しかけると、娘は、自分は幽霊ではなく人間で、だれからも見捨てられたが、神さまには見捨てられなかったとこたえた。

王さまは、自分は見捨てることはないといって城に連れていき、娘は美しくて信心深いので、王さまは心から娘を愛し、娘のために銀の手をつくらせ、やがてお妃にした。

 

 

1年たち、王さまは旅にでることになり、母親に、もしお妃が子どもを産んだらめんどうを見て、自分には手紙で知らせるようにとたのんだ。

お妃は美しい男の子を産んだので、母親は王さまに手紙を書いたが、使いの者が途中つかれで眠りこんでしまったあいだに、お妃に仕返しをしようとおもっていた悪魔が手紙をすりかえた。

すりかえた手紙にはお妃はとりかえっ子を産んだと書かれており、王さまは悲しみ、自分が戻るまでみんなでお妃を大切にするようにと返事の手紙を書いた。

使いの者はふたたび途中で眠りこんでしまい、そのあいだにまた悪魔は手紙をすりかえ、そこにはお妃と赤子を殺すようにと書かれていた。

母親はおどろき何度もたしかめたが、同じ返事がくるばかりで、しまいには証拠に舌と目玉をとっておくようにと書いてあった。

母親は、罪のないものは殺せないと思い、かわりにメスのシカを殺させて証拠のものを残し、お妃にはここは危険なので子どもを連れて出ていくようにといった。

 

 

お妃は悲しみにくれて立ち去り、森の中で神さまに祈った。

すると、天使が小さな家にみちびき、そこにはだれでもただで泊まれると書いてあった。

家の中には、白い服を着た娘がいて、お妃さま中にお入りくださいといい、お妃と小さな男の子の世話をした。

お妃はなぜ、自分がお妃だということを知っているのかと娘にたずねると、娘は、自分は天使で神さまからつかわれたのだとこたえた。

7年のあいだ、お妃はその家で親切な世話をうけ、とても信心深いので、両手が元どおりにのびてきた。

 

 

王さまはお城にもどり、母親からお妃と男の子に何があったのかをきき、ひどく悲しみ、お城を出て2人を探した。

王さまは7年間あらゆるところを探したが、2人は見つからなかった。

その間何も飲んだり食べたりしなかったが、神さまが王さまの命をつないでいた。

 

 

ついに王さまは、だれでもただで泊まれる小さな家を見つけ、白い服を着た娘が出てきて王さまを招き入れた。

王さまは白い服の天使に、お妃と息子を探していることを話し、少し休ませてほしいとハンカチを顔にかけて横になった。

天使はお妃に、あなたのご主人がきたのでお子さんを連れてくるようにいった。

お妃は男の子をシュメルツェンライヒ(悲しみでいっぱいな子)と呼んでおり、シュメルツェンライヒに落ちていたハンカチをお父さまのお顔にかけてあげなさいといった。

子どもは言われたとおりにハンカチをかけたが、王さまはうとうとしながらそのやりとりを聞いていて、もういちどわざとハンカチを落とした。

男の子はお妃に、なぜこの人のことをお父さまと呼ぶのか、自分のお父さまは神さまではなかったのかとたずねた。

王さまは起きあがり、お妃にそなたはだれかとたずねると、自分はあなたの妻で、これがあなたの息子のシュメルツェンライヒだとこたえた。

そして、天使がとってきた銀の手を見ると、王さまは2人が自分の妻と息子だということがわかって喜んだ。

3人はお城の母親のもとにもどり、王さまとお妃はもう一度結婚式をあげて、天に召されるまで幸せに暮らした。

スポンサーリンク