『うまい商売』のあらすじなど (KHM007)

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グリム童話『うまい商売』のあらすじや、物語の教訓・感想など関連する内容を詳しくお伝えします。

結末までネタバレしていますので、ご了承ください。

目次

『うまい商売』のあらすじ

あるお百姓が、牛を売って儲けた金をカエルの池に投げ込んだ。

カエルの「アク、アク、アク」(ドイツ語のなまりで数字の “8” を意味する)という鳴き声が、お百姓の持っているお金の数と違ったからだ。

だがカエルはそのまま鳴きつづけ、お百姓は機嫌を悪くして歩いて行った。

つづいて、お百姓は牡牛を一頭買い、その肉を売るつもりだった。

ところが、その肉のにおいにつられた犬がやってきて、「ワス、ワス、ワス」(ドイツ語で “すこし” を意味する)と鳴いた。

お百姓は、売るはずだった肉を、犬にあげてしまった。

犬にあげた肉の代金を肉屋に請求するが、もちろんもらえるはずもなく、とうとうお百姓は王さまにそのことを訴えにいく。

これを聞いた王さまは、そのおもしろさの褒美に自分の娘をやると提案した。

しかし、お百姓はこれを拒否する。

すると王さまは、3日たったら500ほど与えてくれるという。

お百姓は城を去ろうとすると、戸口にいた兵隊がその金を分けてくれるよう頼んだ。

これに対し、200だけ分けるとお百姓は言った。

その話を、近くにいたユダヤ人が聞いていて、お百姓のもとにやってきて、残りの分を両替すると言い出した。

お百姓は、残る300もユダヤ人に預けることにした。

3日たって3人は王さまのもとに集まった。

500を与えると王さまが言うと、お百姓はその500はもう自分のものではなく、兵隊とユダヤ人のものだと言う。

そのせいで、兵隊とユダヤ人はその500発ぶんを殴られることになった。

500とは、お金ではなく、殴られる回数のことだったのだ。

王さまは代わりの褒美として、お百姓に宝のくらに入らせた。

くらに入ったお百姓が文句を言っているのをユダヤ人が聞き、そのことを王さまに告げ口する。

それを聞いた王さまは、ユダヤ人にお百姓を連れてくるよう命じる。

ボロ着で行くわけにはいかないと言ったお百姓は、ユダヤ人の上着を借りた。

2人は王さまの前に姿を見せるが、お百姓はユダヤ人が嘘をついていると言い、王さまもそれに同意する。

ユダヤ人はバツを受け、お百姓はお金と上着を持って家に帰り、うまい商売に満足するのだった。

『うまい商売』の教訓・感想など一言コメント

タイトルからして商人が出てきそうな話ですが、主人公は百姓(農民)です。

この百姓は、カエルや犬の鳴き声によって気分を乱されるなど、少し頭が弱い設定。

本当はドイツ語で読むとこのネタがさらにわかりやすくなるのでしょうが、日本語訳ではなかなか難しいところですね。

基本的にはそんなコミカルな話です。

カエルや犬は本当にただ鳴いているだけであって、百姓は勝手にその言葉を自分に都合よく聞き取っています。

さらに、王様から与えられるという「500」という数字も、殴られる数字だとわかってはいません。

けれども、最終的には自分の利益に変えることができているところがすごい!

まったくもって、うまい商売なわけです。

教訓的なことを考えるなら、「考えすぎないほうがいい」ということでしょうか。

深く考えず、直感で動いてみると、それが案外いい結果になるのかもしれませんね。

『うまい商売』の基本データ

収録ナンバー

KHM007

原作タイトル(ドイツ語)

Der gute Handel

英語タイトル

The Good Bargain

日本語の別タイトル

  • 「うまい取引」

など

収録版

2版から7版まで

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