白雪姫の原作に、ディズニーみたいな王子さまのキスはない?

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白雪姫の原作に、ディズニーみたいな王子のキスはない?

ディズニー映画のおかげで、これまで多くの人に親しまれてきた『白雪姫』。ディズニー版が広く知れ渡っていますが、原作はグリム童話に収録された物語、KHM053『白雪姫』です。

『白雪姫』といえば王子さまのキスで目覚めることで有名ですよね。

しかし、原作であるグリム童話の『白雪姫』には「王子さまのキス」なんてものはありません。もっと言えば、王子さまの存在そのものが薄いのです。

また、ディズニー版で出てくる敵キャラ「女王」の最期も、原作とはだいぶ違います。

では、ディズニー版グリム童話版で、いったい何がちがっているのか

この記事では2つの『白雪姫』について、違いを細かく見ていこうと思います!

目次

原作『白雪姫』には王子の存在感がない

まず『白雪姫』のポイントになるのは、王子さま。

ディズニー版では、王子さまといえば極めて目立つ存在です。

これは『白雪姫』にかぎった話ではありませんが、ディズニー作品といえば、かっこいい王子さまときれいなお姫さまのキュンキュンする恋愛が定番ネタですよね。

ディズニー映画版の『白雪姫』はこの恋愛ネタの典型で、白雪姫は王子さまのキスによって、死の淵から目覚めることになります。

まさに、王子さま

ディズニー版では、王子さまは突然あらわれた白馬の騎士的なポジションなのです。

そして、白雪姫も、映画を見ている人たちも、それにキュンキュンしてしまうわけですね。

もちろん最後にはめでたく結婚し、しあわせに暮らすことになります。

対して、グリム童話版はというと……。

まず、王子さまの最初の登場シーンでは、森の中で棺(ひつぎ)に入れられた白雪姫を見て、こびとたちがなげいているのを発見します。

そしてこともあろうに、王子はその棺を「売ってくれ」と言うのです。

なぜかというと、「白雪姫を棺のまま自分の部屋に飾っておきたい」から。

助けようとしたのではなく、そのまま飾っておきたかったのですね。

この描写に対して、「白雪姫の王子は死体愛好家だった」なんて声もあがっていますが、王子がそうであるという正確な描写はありません。

王子さまの扱いは、ディズニー版グリム版とで大きな差があります。

主役級にバリバリ活躍するヒーロー王子であるのがディズニー。

ご臨終した白雪姫入りの棺を欲しがる脇役的存在なのがグリム童話です。

原作『白雪姫』は王子さまのキスで目覚めない

では次に、白雪姫がよみがえるシーンを見てみましょう。

ディズニー版ではご存じのとおり、王子さまのキスによって目を覚まします。

初恋の人のキスが、毒を消してくれるという設定のようですね。

なんともロマンチックな流れです。

では、原作のグリム童話版ではどうでしょう?

そもそも、白雪姫を助けるのは王子さまではなく、王子さまの「召使い」です。

もちろん、そこに王子さまのキスなんてものはありません。

王子さまがこびとから白雪姫の棺(ひつぎ)をもらい受け、それを召使いに運ばせている最中のこと。

召使いは木に足をひっかけて、そのはずみで棺が揺れ、白雪姫が飲みこんでいた毒リンゴの一部がのどから出てきたため、生き返るという話です。

もう一度、おさらいします。

白雪姫が生き返る理由は、

  1. 王子さまが召使いに白雪姫の棺を運ばせる
  2. 召使いが木に足をひっかける
  3. そのはずみで棺が揺れる
  4. 白雪姫が飲み込んでいた毒リンゴの一部がのどから出てくる
  5. 白雪姫が復活!

そう、つまり、白雪姫が生き返ったのは、召使いがたまたまドジだったから。

注意深く、しっかりした召使いが棺を運んでいたら、白雪姫はご遺体で飾られたままだったかもしれないわけですね。

ロマンスのかけらもないストーリーです。

ちなみに、この白雪姫が生き返る場面は、グリム童話の中でもさらに、原稿版や初版とでまた違いがあります。

いろんなバージョンの『白雪姫』が存在するわけですね。

気になる方は、以下の記事もぜひ読んでみてください↓

原作『白雪姫』の女王は鉄のくつで最期をとげる

王子さまだけではなく、女王の扱いもディズニー版と原作のグリム童話とで、違いがあります。

女王、つまり「鏡よ鏡……」といっている白雪姫のまま母が最期をとげる描写は、まったくもって別物です。

ディズニー版では、白雪姫がお亡くなりになったあと、女王こびとたちに追いつめられます。

そして崖までやってきたとき、女王は反撃しようとしますが、そこへいきなり雷が落ちてきます。

雷のせいで崖がくずれて、そのまま落ちてさようならという話です。

いってみれば、「不慮の事故」というわけですね。

対してグリム童話版では、女王は最後、白雪姫の結婚式にのこのことやってきます。

そこには、女王のために「鉄のくつ」が用意されています。

この鉄のくつは炭火の上に置かれていて、しっかりと焼けた状態です。

女王はそのくつをはいて、死ぬまで踊りつづけなくてはいけないという死刑が待っていたのです。

よくよく考えれば、たいした「拷問」ですね……。

「グリム童話の白雪姫が怖い」とされる理由は、やはりこの最後の女王のシーンがなかなかに残酷に映るからでしょう。

まとめ

ということで今回は、ディズニー版とグリム童話版の『白雪姫』を見比べてみました。

王子さまと女王の扱いの違いが、2つの作品においてハッキリと見て取れます。

怖いグリム童話とはよくいわれますが、その中でも、世の中に浸透しているディズニーの『白雪姫』と、原作であるグリム童話の『白雪姫』の比較はなかなかおもしろいですね。

ロマンスのかけらもない王子や、えげつない最期をとげる女王など、リアルに描写したらなかなかダークなストーリーになりそうです。

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